鉢ヶ峯寺地区東西道路建設についての陳情書

1997年2月10日 

堺市市議会議長 殿
堺  市  長  殿

「鉢ヶ峯の自然を守る会」 
代 表  清 水 俊 雄 


鉢ヶ峯寺地区東西道路建設についての陳情書

 1995年7月に発表された「ゆとりとふれあいの場構想基本計画案」において、鉢ヶ峯地区に東西道路を建設する計画が明らかにされました。 道路建設によりホタルなどの生き物の絶滅や里山景観の消失が懸念されるため、私たち鉢ヶ峯の自然を守る会は、1995年10月に要望書、11月には計画段階でのアセスメント(環境影響調査)を求める陳情書を提出するとともに、堺市企画調整部との話し合いを継続してきました。
 昨年12月の話し合いでは、今年度中にルートを確定するとのことでした。 そのルート上の土地を買収し、建設作業車を通すための道路をつくるそうです。 12月より既にボーリング工事が始まっておりボーリング調査地点をたどることにより、道路ルートが推察されます。 その中で、次のことが明らかになりました。

1.内河池の堤沿いに道路がつけられ、景観上の影響が大きいこと。(別添地図@)
2.内河池から東へ向かう際、棚田部分を通り棚田そのものも大きく損なわれる上、上部にある二つのため池がなくなるおそれがあり、残った棚田の維持が困難になること。
 この部分の棚田は鉢ヶ峯寺の中でも最も良好に維持されているものであり、景観上及び多様な生き物(トンボなどの昆虫や日本在来の植物など)にとって重要な場になっています。(別添地図A)
3.棚田から東の泉ヶ丘カントリークラブに通ずる南北の尾根道を越え、公園墓地の外周道路へのルートは堺公園墓地南側の南東斜面を通る予定になっています。
 しかし、ここは第二豊田川に通ずる小径(通称:コナラの道)の谷を挟んで北側の雑木林にあたり、景観が美しく、さらにこの谷筋には環境庁の調査対象種であり、日本版レッドデータブックに特に保護に留意すべき地域個体群としてあげられている「カスミサンショウウオ」が生息しています。 そのほかにも、サラサヤンマの産卵場になっているなど生態的にも貴重な場所です。 工事が行われると斜面の雑木林のみならず、谷筋も土砂で埋まり貴重な生態系が壊滅すると予想されます。(別添地図B)

 これまで述べた例のように、東西道路建設は農業環境、自然環境に大きな影響を及ぼすものでありルートと工法の決定については細心の配慮が必要です。

よって、次のことについて陳情します。

陳情事項

  1. 東西道路の泉ヶ丘カントリークラブに通ずる尾根道より東の部分については公園墓地の外周道路の南の尾根の北西斜面に通して下さい。(別添地図Cの部分)
  2. 事項1の内容に関してやむを得ない事情により公園墓地外周道路の南の尾根の南東斜面に通さざるを得ない場合は、生態系及び景観への影響についてのアセスメントを行ってください。
  3. 第二豊田川の法道寺川との合流点付近からコナラの道にかけて生息する「ホタル」と「カスミサンショウウオ」の生態に工事による影響が出ないよう配慮してください。
  4. ボーリング調査の結果及び東西道路の計画図について、可能な限り、早い時点で公開してください。特に、水脈を破断すると広域にわたり影響を及ぼすので水脈についての調査結果を公開してください。
  5. 内河池周辺から棚田にかけての農業・生態系・景観への影響を極力少なくするために、工法に最大限の工夫をしてください。

市議会に付託された回答の案(このまま可決)

陳情 第4号 所管課 企画調整部
件名 道路整備について(鉢ヶ峯)

 陳情事項1、2及び3でご指摘の第2豊田川沿いの斜面の山林については、 南部丘陵検討委員会による自然環境調査によって貴重な動植物種の生息が確認されており、 良好な自然環境が保全されていることが明らかにされておりますので、 陳情事項5の区域も含め、東西道路のルート決定、工事施工にあたっては、 自然環境や景観への影響を最小限に止めるよう配慮します。
 陳情事項2のアセスメントについては、東西道路は大阪府環境影響評価要項の対象事業に該当しておりませんので制度としての環境アセスメントの実施については考えておりませんが、緑のミュージアム・東西道路事業では、南部丘陵検討委員会による自然環境調査結果に加えて、平成9年度に対象地域とその周辺で自然環境調査を再度実施し、それらの結果を尊重していきたいと考えています。
 陳情事項4の情報の早期公開については、ゆとりとふれあいの場構想の推進の中で、今後とも情報の公開並びに市民意向の把握に努めていきます。

陳情書に添えられた地図は省略しました。 tsukabon