泉北野鳥の会、会則から自然保護を削除?

 泉北野鳥の会(会長炭田仙二氏)の97年度総会において、 会の目的から「自然保護」を削除するよう会則を変更する動議が提出され、 賛成多数により可決された模様です。
 泉北野鳥の会は、主に堺市泉北ニュータウン周辺の住人から構成される探鳥サークルで、鉢ヶ峯の自然を守る会と共に毎年鉢ヶ峯でイベントを開催しています。 TSUKABONも泉北野鳥の会の会員で、時々探鳥会にも参加しています。
 毎年総会には会長、幹事を中心に10人前後の会員が出席し、事業計画などの審議を行っています。
 97年度総会は2月10日堺市立泉ヶ丘図書館集会室において開催されました。
 総会に参加した人の話によると、出席者の一人から会則変更の動議が提出され、それを待っていたかのように議長(会長)が出席者の挙手をとり、賛成多数により会則が変更された旨宣言したという事です。

○機関紙「つばくろ」55号より関連記事

’97(第15回)泉北野鳥の会総会 抄録 より

会費改定は、54号で既報の通り承認。 これに関連して会則見直しの動議があり、現在配布されている会則の設定時の不備の指摘があり (第2条、第3条の自然保護・・・に関する字句の挿入について)審議採決の結果、 第2条目的の中の「自然保護思想の普及・・」及び第3条の中の「自然保護のための活動」の字句の無い、 設立当初の会則が追認されました。

 

いろいろな意見が「つばくろ」を賑わした「自然保護」でしたが、 泉北野鳥の会は設立当初から「自然保護」とは無関係の団体であり、 それを今回改めて確認しあったということですね。  −tsukabon

○機関紙「つばくろ」54号より関連記事

「自然保護・・・」を読んで 広田喜江

 本誌53横島さんの「自然保護の・・・・・」を読んで、感想を述べます。
 私は、泉北野鳥の会へ十年前入会し、いろいろな探鳥地に連れて行ってもらいました。 そして、多くの鳥たちや仲間達に出会えて、感動し心優しくなって帰宅したものでした。
 50号の井関佳代さんの「泉北野鳥の会の誕生のころ」の文章を読んでとても心があつくなりました。 私の知らなかったいきさつを知ってなお一層会に愛着を感じるようになりました。 仲間たちとともに野鳥を見ること、それは私にとって、とても楽しいことです。
 鉢ヶ峯の記述については同感ですが、そのほかの事については、全面的には同感しかねます。
 自然保護は今や世界的な命題になっています。自然保護・・・・・といえば、誰も反対する人はいないと思います。
 わたくしも、及ばずながら、地球環境保全・・・・・の趣旨にしたがって行動しているつもりです。 探鳥会に参加している人は皆同じではないでしょうか。
 横島さんは鳥を観るだけの趣味ではよくないとのことですが、会の出発がそうなのですから、私は見るだけの会でよいと考えています。 それは各自ひとりひとりが考えて行動することではないでしょうか。 会の方向としてそれを目ざさなければならないのなら、私は少し立ち止まってしまいます。
 鳥を観るために野鳥の会に入ると、・・・に関心を持ち、・・・・・に関し意見を述べなければならないのでしょうか。 しかも、鉢ヶ峯の自然を守ることに関心を持ちとありますが、「鉢ヶ峯・・・・」に関しては、それを本旨とする会があるではありませんか。 それは必要なことだとは思いますが、野鳥の会に入ると、環境を知り、関心を持ち、意見を述べ・・・・・・なんて言われると、少ししんどくなります。
 私は今このようなことをやっています。 ついては、これこれについて協力してほしいと言われるのなら話はよく分かります。 私たち一般の会員は殆ど同じではないでしょうか。 地域に貢献できる団体であることを世間に示す機会・・・・とはどう云うことなのでしょう。
 私は、趣味の会でいいと思っています。 現在のようにさわやかな、ほのぼのとした楽しい会であってほしいと願っています。 そのなかでなにがしかの協力をしたいと考えています。 あまり保護保護とばかり叫ばないでほしいのです。
 ”鳥たちが好きやねん”と集まった人たちの会なのですから・・・。

○機関紙「つばくろ」53号より関連記事

自然保護の心を育てよう 横島 彪

 泉北野鳥の会に入会して早5年、その間たくさんの探鳥会に参加しました。 その中で特に印象に残っているところの一つが鉢ヶ峯です。 都市の近くにあって、これほど自然のままの姿が見られる所は、大阪府下でもかず少ないように思います。
 雑木林に囲まれた、ため池や棚田の広がり、高台にある畑に立つと、まるで信州の高原にでもいるようです。 一部はすでにゴルフ場になってはいるが、その山林から流れ出る小川など風景は変化に富んでいます。
 春にはスミレやショウジョウバカマなど春の妖精たちが姿を現し、カスミザクラの花の下、メジロやウグイスがさえずります。 夏は、卯の花の咲き乱れる谷をホトトギスが鳴き渡り、ホタルやトンボが飛び交い、秋には、南に帰るムシクイやヒタキなどの夏鳥たちがここに立ち寄って行きます。 赤く熟したソヨゴの実などを求めてヒヨドリなどの留鳥も集まって来ます。 冬には、アオジやベニマシコなどの冬鳥たちの餌場にもなります。 都会の近くでこんなに豊かな自然が残っているところがほかにあるでしょうか。
 地球環境の危機が叫ばれてから久しくなりますが、私たちに今出来ることは、身近にある環境について理解し、それを守り育てて行くことではないでしょうか。 そのためにお金や労力を出すことも必要でしょう。
 泉北野鳥の会においても、探鳥地に行ってただ鳥を見るだけではなく、それを通じて、彼らの住む環境を知り、それを大切に守っていくこと、また失われた自然を回復することに力を貸すことが求められているように思います。 今、もっとも身近な問題である鉢ヶ峯の自然を守ることこそ、私たちの会が、ただの趣味の会ではなく、地域に貢献できる団体であることを広く世間に示す機会でもあると思うのですが、皆さんの考えはどうでしょうか・・?

<文責 TSUKABON>