ホタルフォーラム

鉢ヶ峯での恒例のホタル観察会の翌日にフォーラムを開きました。

日 時 1997年6月15日(日)13:30〜16:30
場 所 堺市栂文化会館第一研修室
参加者 約30人
なぜフォーラムを開いたか

 鉢ヶ峯には水棲のゲンジ、ヘイケ、その他陸棲のホタルが数種住んでいます。 川、ため池、笹やぶなどさまざまな環境が保たれていることが理由です。
 しかし計画中の東西道路や墓地の拡張がホタルの生息地に迫り、 またホタルの住む川にも護岸工事やしゅんせつ工事が予定されています。
 このように鉢ヶ峯のホタルの将来にたいへん心配な状況の中で、 ホタルの保護のために何が必要かを考える場をつくろうと、 一年以上前から計画しました。 とくに今回は横須賀市でホタルの復活活動などを手がけられてきた 日本ホタルの会理事の円谷哲男氏を招き、お話を聞きました。

内 容

ホタルの現状について

 最初に91年からのホタル観察会の報告をスライドを交え岸田が説明しました。
 91年、第二豊田川でヘイケボタルが大発生したが、翌年以後発生数は下回っていること。 92年からホタル橋付近の田が利用されなくなり、以後ヘイケよりもゲンジの数が増えていること。 発生数は年による変動が多く、少ない年で20〜30頭、多い年で200頭ほどであること、 (今年はゲンジの発生が91年以来一番多かった)など。

水生生物調査

 次に竹内氏が昨秋より第二豊田川で3回行った水生生物調査の報告を行いました。 法道寺川との合流点では魚類、ヤゴ類、ゲンジボタルの幼虫など多くの生物が見つかっているなど、 ポイント別に詳しい報告がありました。(詳細は別項に譲る)

円谷氏の基調講演

 横須賀市岩戸川でのホタル復活活動の事例、 ゲンジボタルの集団産卵の様子(集団で産卵するのは関西以西だそうです)、 沖縄県西表鳥のイリオモテジマボタルなどの貴重なスライドを見せてもらいました。
 日本には44種のホタルがいて、光るのは14種。 水棲のものは4種で3種は日本にいる。 沖縄でいまだに新たな生物種が見つかるのは、ハブに守られているからだ。
 ホタルが国の天然記念物になっているところは7ヶ所あるが、 昔から絶える事なく継続しているのは2ヶ所しかない。
 三面張り護岸(川の両サイドと底の三面をコンクリートで固めること)も年月がたち、 土がたまり植物が生えてくるとホタルの発生に必ずしも障害にならない。
 しゅんせつをすると日あたりがよくなり、カワニナ(ホタルのえさとなる巻き貝) が増えるのでホタルの数が増えることもあるが、 長期的に見るとホタルにとってよいかどうか分からない。 しゅんせつをする場合は下流から部分的に行ったはうがよい。
 ホタルを増やすためには川に生えている草を刈って、日あたりをよくしてやったほうがよいが、 野鳥のためには草刈りをせず、そのままにしたほうがよい。 等々なかには今までのわたしたちの思い込みをくつがえすようなお話もありました。
 円谷氏は横須賀市の職員をされており、市民からの提案を受ける立場から、 提案をするときは具体的なイラスト図(完成イメージ図) を示したほうがよいとの具体的なアドバイスもいただきました。
 日本ホタルの会はホタルだけをとりあげて活動しているのではなく、 山里の自然の象徴としてホタルを取り上げており、 目的としては山里の自然そのものを守ることとのことで、 わたしたちの会と共通するところが多いようです。 (その後のNS会議で守る会も日本ホタルの会の会員になることにしました。)

パネルディスカッション

 パネルディスカッションでは高槻公害問題研究会の田口圭介氏に入っていただき、 府下のホタル調査をした結果、ヒメボタルの生息地が公共事業などにより減少していることや、 水田の滅少、農薬の空中散布などの都市農業の衰退と環境変化により、 ヘイケボタルの生息地が減っていることが報告されました。
 円谷氏は、川のあり方を考えるとき、どんな川にしたいかをしっかり考えないとだめだ。 ホタルを出すために他の生物を犠牲にしてはいけないと述べられ、 さらに学習を重ねることの大事さを感じました。

感  想

 フォーラムに先立って円谷氏に現地を見てもらいました。 こんなによい自然はもう横領須賀、横浜には残っていないとのことで、 わたしたちの活動の重要さをあらためて感じました。
 今回のフォーラムには地元自治会、大阪府からも参加をしてもらい、 ともに考える場としたかったのですが、実現には至らず、 今後の課題として行きたいと思います。