天濃池ビオトープ事業に関する大阪府との話し合いについて

2000年3月18日、「ハーベストの丘」の先の舗装道路脇で、ショベルカーを使って工事をしているのを発見。その後、堺市環境保全課に問い合わせると、大阪府によるビオトープ事業であることがわかる。その後、5月17日に、会として正式に話し合いを持ちました。以下はその記録です。以前から会として問題提起をしているのにもかかわらず、抜き打ちで着工されており、今後も注意が必要です。

 

 話し合い記録 

 

日時 2001年5月17日(木)18:30〜20:00 於:泉北府民センター(鳳)
出席 大阪府泉州農と緑の総合事務所耕地課(堺分室)
    長谷川課長補佐、大宮主査、森脇技師
    大阪府環境農林水産部農政室農空間整備グループ  岡田主査
    鉢ヶ峯の自然を守る会    酒井、岸田、野口
 
府)
本事業は、南部地区のビオトープ事業としてH9年度に国庫補助採択を受けた。
本事業の総事業費は2億円(うち、1億円は進入路等の用地買収費用)で国費1/2、府・市1/4の負担割合。
会とはH8年10月に話し合いの場をもち、内河池を中心に配慮の要望を受け具体化に当たっては会との話し合いの場を持つことを確認していたが、内河池を止めたこともあり怠っていたことをお詫びしたい。
天濃池のどのような生きものを対象にしたビオトープ事業にするかH8年度に検討し、森下・石井先生のアドバイスを受けながら、堺市の南部丘陵基礎調査資料を参考に事業メニューを策定した。
H13年3月に進入路工事をし4月に完成。進入路はその後の工事や池管理のためもあり築造した。
13年度以降の工事計画は、
(a)余水吐けに橋をかねて、コンクリートボックスカルバートの設置
(b)北側堤面は自然石の緩傾斜護岸にする。
(c)堤の奥を一部埋め立て(15mX12m)し、水際は生態系護岸(ホタルブロック:高さ5m)を整備し、小魚の生息場所にする。
(d)理め立て部分に野鳥観察小屋と太陽光発電パネル屋根にし、池の浄化用噴水(2ヶ所)の電源に利用する。
(e)浮き島(アンカー付き)を設置し、材料は未定。
会)
@独自の動植物調査の実施
当ビオトープ事業における動植物調査は堺市の南部丘陵基礎調査資料に基づくとのことだが、丘陵全体の調査であり、当事業の性格や天濃池という限られたエリアだけの事業であることから特に独自の調査をするのが当然ではないか。会には諮っていないが、協力することもできる。

A独自調査を踏まえて、設計の見直しを
りっぱな野鳥観察小屋を建てるとのことだが、調査ではオシドリの飛来とあるが、渡りの冬鳥であるカモ類はほとんど飛来しないと思われる。オシドリは人が近付いたら逃げる性質があり、観察小屋に行くまでにいなくなることが予想され小屋の位置、観察する方向など検討されたと思えず、調査をしたうえで、検討すべき。
現在、ブラックバス釣りの人が多くきておりカモ類の飛来が見られず、進入路の整備は釣り客にとっては便利な路になるだけではないか。
又、当該地へのアクセスの面では内河池と比べて悪い。大阪府の財政が厳しいと言われ無駄な公共事業への批判が大きいもとで、当該事業の費用対効果という点からも事業コンセプトに問題があると思われる。
池の奥を埋め立てるが、観察小屋やソーラー設備を設置するために埋め立てるならビオトープの本来目的から本末転倒ではないのか。現状が生きものにとってビオトープであり、より良い生息空間にする事業なら理解できるが土木的発想で埋め立てたり護岸整備をすることはおかしい。
会としては、基本的にはこれ以上の工事をしないことが良いと考えるが、例えば、事業をするなら、埋め立て部分にあるヨシ原を潰廃するのではなく、埋め立てや護岸整備ではなく、ヨシを増やすことや湿地を確保するど、どのようにすれば現状よりさらに良いビオトープにできるのかというコンセプトで検討すべき。

府)
野鳥の生態など把握したうえで、設計したとは言えない。又、ブラックバス釣り問題は府としても邪魔と考えているが、釣り客を排除する方策は管理面で対処することは可能と考える。
我々は生きものに強くないので、必要なものは調査する必要があると考える。一方、補助事業ということから事業期限面で厳しいところがあるが、部分的な独自調査の実施について検討したい。
計画の基本部分は変えられないが、指摘の点は理解できる所もあり、計画の一部変更について研究は可能。内部で検討し、連絡する。
会)
検討結果等について改めて府と協議したい。(了解される)