天濃池ビオトープ事業について大阪府協議【メモ】

日時

平成14年2月27目(水)午後7時〜8時30分
場所 鳳土木事務所
出席者 大阪府泉州農と緑総合事務所堺分室/長谷川課長補佐、他2名
堺市農業土木課/松井課長、宮浦主幹
都市緑地研究所/麻生氏、他2名
鉢ヶ峯の自然を守る会/清水、酒井、横島、野口
〈協議概要〉
 (農と緑)
 冬季の調査が一応終わったので報告したい。(別紙)
 具体の計画案を作成したので意見をいただきたい。
 調査内容について都市緑地研究所から説明したい。
 (調査会社)
天濃池生物調査書(H13.4〜H14.3)を示される。過日に中間報告したので冬季調査を中心に報告したい。
1 魚類(P8)について4種確認。なお、冬季は水温が低く未確認。
2 鳥類は、オシドリと思われるが飛び立ったのが確認された。なお、それ以外、冬季カモ類は確認されなかった。バス釣りや水草などがないことが原因と考えられる。
3 昆虫類(P26)は101種を確認していたが、冬季調査で109種になった。(ミズスマシ:飛来個体、カンタン:池の淵で確認)
4 底生生物は、調査結果を週末にまとめるが、シオカラトンボ、ユスリカなどで天濃池は非常に貧弱と思われる。
(調査結果の特徴)
1 魚類はブルーギル、オオクチバスの外来種で魚影は濃いが豊かでない。
2 植物類は堰堤上ではススキ、チガヤ群落であるがツルフジバカマなど、在来種の鑑賞価値の高い草本を多く含んでいる。池の水生植物はヒシ群落(一部ヨシが植生)であり、貧弱。
3 鳥類のうち、カモ類の飛来はほとんどなく現況上、生息環境としては適していない。
4 昆虫類は抽水植物が貧弱、池の水位の変動によりトンボ類の生息環境として適していない。
 (農と緑)
 生物調査結果を踏まえて、事業の当初案を変更したので説明したい。なお、鳥の視点でのビオトープづくりは余りないと認識した。
 (調査会社)
別紙設計案を説明。物づくりはできる限りシンプルにした。
代表導入種は多様な生物の生息が大切と認識している。なお、観察できる機能も必要と考えた。
(計画案の概要)
当初案を大幅に変更(バードウォチング小屋〈ソーラシステム付〉、池の噴水、堤体水際の埋め立てと護岸整備等を止める)し、以下に変更する。
1 堤体から10〜15mの幅で緩傾斜地を造り、湿地をつくり水生植物を植える。なお、植物の代表導入種は多様な生き物が生息できる空間づくりのためにしたい。又、観察機能も必要と考え、木道デッキを設置。(水生動植物観察エリア)。余水吐レベルで水位を安定させる。
2 ヨシ群生の保護。
3 池の入り江(すべてでない)を盛土し、湿地をつくる。(盛土エリア)
4 池の中に浮島等(約30平方メートル)を設ける。(水面植栽エリア)
5 堤体部分に集合スペース(校外学習の集合・説明場所管理用駐車・集積場所)の設置。他は希少種のツルフジバカマが植生しており、堤体補修工事時は移植復旧等を検討する。
 (会)
1 水生動植物観察エリアで植物用盛土(10〜15m程度)に設定された理由は。
2 集合スペースを設ける必要理由は何か。当該部分に設定しなければならない理由は何か、敢えて堤体の裸地を真砂土舗装をして観察スペースを設置しなくても余水吐部分に橋梁設置するのであればその空間を利用することができる。どの程度の観察者数を想定されているのか。
3 盛土エリアは入り江の全ての箇所を設定しているのか。箇所数は。
4 堤体の北側斜面を盛土する必要性は何か。当該斜面は植生調査結果からも明らかなように貴重種が生息しており、盛土によって植生破壊になるのではないか。
5 1 のエリアの水生動植物の生息環境が創出される見込みはどうか。
6 当事業は国庫補助事業だが、事業採択要件上、府の設計自由度は。
7 当初、事業費は1億円と言われていたが変更案の事業概算額は。
8 堺市の14年度予算に「南部丘陵の農のウォーキングロード計画づくり」があるが、当事業との関係は。
9 ブラックバスの魚釣り防止とあるが、具体にどうするのか。
 (農と緑・堺市農業土木課)
1 について、現況勾配が急峻であるため、計画勾配 (1:1.4) で盛土した場合、ふとん篭土留が大規模になり、費用面も勘案して10〜15m程度が妥当と判断した。
2 について、余水吐け部分にカルバートで橋を架けるが、橋を観察スペースにする方が良いと思う。なお、観察者数は1クラス程度。管理車両は1台を想定している。
3 について、箇所数は未検討だが、すべてをとは考えていない。
4 については、堤体の北側法面の一部が崩れたり漏水しており、池の水位を下げた状態にしている。当事業で法面補強工事をしなければならないと考えている。
5 について、必ず、創出される保障はないがモニタリングしながら必要であれば改善していくことが求められる。
6 について、3つの採択要件があるが変更案はクリアしている。
7 について、変更案の概算額は算定していないが、高くなることはない。
8 について、例えば泉ヶ丘CCのアプローチ道(舗装道)を農のウォーキングロードと位置づけている。
9 について、ブラックバス等を駆逐するため。一旦、池の水を抜き、竹の根を沈め釣り金具が引っかかるようにして釣りができないようにしたい。
 (会)
当初案に比べて、変更案のビオトープの視点は見直され改善されたと思われるが、会の議論で天濃池及びその周辺の動植物の生息状況から敢えて当事業をする意義があるのか、府の財政状況等から不急不要の無駄な公共事業になるのではないかの意見がある。変更案を持ち返って検討し、改めて早急に行政側との場を持ちたい。
 (農と緑)
意見の何でもできるとは言えないが会で検討して指導してほしい。13年度予算で動いており、コンサルタント会社への委託契約期間もありので早急に提案して欲しい。
 年度明けには余水吐施設の改善工事に入りたい。オオタカの生息を配慮し、付き合いながらの工事とする。
(後日の事務会議での協議)
 変更案は当初案に比べて改善されており事業自体に反対はしないが、堤体北側法面の盛り土は問題であり、盛り土工事には反対する。なお、堤体の崩れた部分の補強が必要であればあの部分に留めること。どうしても北側法面の盛り土が必要なら現況植生を復元させることとする。

※ 3月11日(月)午後6時30分に、鳳土木事務所にて会の意見を提示することになる。