別所カスミサンショウウオ・プロジェクト2001年報告
−丘陵性湿地生態系復元実験−

報告/酒井和子

 別所・天野山C.C.と鉢ヶ峯の自然を守る会との間で2000年12月に成立した公害調停の調停条項の一つ「カスミサンショウウォの生息環境保全」を実行するため、2001年春に鉢ヶ峯の自然を守る会と大阪府立大学夏原由博助教授(+大学院生)共同によるプロジュクトを立ち上げ、関発区域でのカスミサンショウウオの調査と実験地作りを行うことになった。
調査と湿地復元作業
01/03/18 産卵調査  夏原先生、会
・カスミサンショウウオの卵のうを開発区域内等で計5塊、確認
・区域外(ショウブ池)ほかで9塊、確認
01/05/19 第1回生息湿地復元作業  府大6人、会ほか16人、計22人
・田んぼ状の湿地3mX6mを作るための水路の草刈り−土揚げ、土起こし作業
01/05/26 第2回生息湿地復元作業    府大4人、会6人、計10人
・土起こし作業、湿地2区画(水深0〜2cmの浅い湿地と水深10cmの深い湿地)作り、水路作り
01/06/26
・府大、カスミサンシュウウオ幼生(約1000匹)を放す
02/01
・府大、復元湿地の踏み板下で、カスミサンショウウオ成体♂4匹を確認
02/03/03 産卵調査 府大+会12人
・復元湿地の浅い湿地で卵のう1対、確認(府大でDNA調査)
・近くの水路で成体♂1匹を捕獲(→府大)
・ショウプ池で卵のう1対と半対、確認
・水路で産卵間近の成体♀1匹を捕獲(→府大)
02/03/17 産卵調査  会ほか8人
・復元湿地で確認できず
(02/03/16)
・夏原先生が卵のう1対確認→府大
調査結果
 2001年に手作業で仕上げた復元湿地で、02年早春にカスミサンショウウオの産卵が確認できて、一応の成果はみた。しかし、前年の産卵数19対に比べ、02年の2対は少なすぎる気がする。これが、年による変動なのか、何か他に触があるのか、今後の調査による解析を待つことにした。
 なお、遺伝解析のための酵素タンパク多型を魂べた結果では、鉢ヶ峯の個体と別所の個体は、共通の遺伝子型であることが分かった(府大)。