2002年度のまとめと2003年度の方針について

2003年度総会より

【東西道路延伸問題】
 2002年度は主体的、状況的ともに新たな動き、取り組みはあまりなかった。そのなかで私たちにとって意味を持つこととして東西道路開発における大阪建設事業評価委員会について冒頭で検討したい。
 東西道路延伸問題が行政による進捗作業の中で、大阪府建設事業評価委員会の議題にかけられ、この評価委員会に対して私たちがどのような意見を出すかが問われた。NS会議における討議の積み重ねにより、東西道路建設計画について私たちは賛成するものではなく、自然破壊の恐れと道路そのものに投資に見合った有用性があるのかどうか疑わしいという共通認識を確認し、建設事業評価委員会に対して意見書を提出した。
 同委員会委員にこの私たちの意見に共感する方を得、評価結果に対して一定の影響をもたらすに至った。東西道路区間の工事のあり方のみならず、広く南部丘陵の保全と「活用」のありかたについて地元住民、企業、環境団体、行政が意見交換する共通の場を設置し、東西道路建設に当たってはその場における意見を尊重することが求められたのである。この決定は延伸工事そのものの中止につながるものではないが、私たちが求める自然環境の保全施策(よりダメージが少ない開発のあり方)にとってプラスに作用することが期待される。
 この経験は保全につながるあらゆるチャンスを利用して、やるべき手だては尽くすことの重要さと、環境保全活動についてつながることのできる団体・個人と積極的につながっていく(活動レベル・情報レベルなどその内容に応じて)ことの重要さを教訓化している。「あきらめるな、手を尽くしているのか」と。
 現在、東西道路はハーベストの丘から一部工事(堺市の工事区間)が行われており、道路法面への在来植物の復元などを堺市に求めていきたい。
 今後、東西道路延伸問題だけでなく、南部丘陵の自然環境のあり方を巡って、行政・地元住民・企業・環境団体との場の共有がさらに増えることが想定される。そこにおいて状況に流されることなく、かつ現実的有効性を追求しつつ、私たち「鉢ヶ峯の自然を守る会」の基本理念、かつ存在理由である「自然を守る」立場を貫いていくことが肝要ではないだろうか。そのなかで必要な情報をタイムリーに会員及び市民に提供していくことの意味は決して少なくない。私たちの持っている手段であるニュースレター、ホームページなどをさらに有効活用する余地がある。
【天濃池ビオトープ】
 天濃池ビオトープについては行政(大阪府、堺市)との話し合いを重ねた結果、「天濃池ビオトープの会」が2003年3月にいよいよ発足した。これまでに水生植物の調査、移植作業を行っている。行政主導の自然回復事業への協力というこれまで私たちが取り組んだことがない領域である。内容的には当初の土木工事中心の案に対して私たちが係わることで自然回復を中心にした案に変更することに成功したと言える。
 今後、行政、市民、「鉢ヶ峯の自然を守る会」間のパートナーシップの取り方、見せかけだけでなく、市民が主役となるビオトープ活動のあり方について学ぶ場としてこれまでにも増して積極的に取り組む意義がある。
【自然ふれあいの森】
 「自然ふれあいの森」については堺市が事務局をつとめる市民参加の管理運営準備委員会が取り組みの推進機関として位置づけられている。2003年度は、本会からの参加者も増え、積極的に関わることが期待できる。
 堺市としては管理運営準備委員会に委ねているとしており、現地の自然条件についての調査・認識を基にした整備計画、保全計画が適切になされるのか見えにくい部分があるので、会として注視し必要な意見をタイムリーに出していく必要がある。
【オオタカの保全】
 生息環境の悪化が懸念されるオオタカについては、行政による調査の継続を基本にした適切な保全のための対応策について、行政(大阪府、堺市)と協議を継続する必要がある。この問題については東西道路延伸問題ならびにふれあいの森計画と関連が深いので縦割りの行政をつないでいく問題提起の仕方が必要である。
【別所・カスミサンショウウオの保全】
 カスミサンショウウオの生息する別所湿地の復元について、状況は楽観できない。2003年の産卵数も2002年と同様、開発前よりも著しく減少したままである。大阪府大夏原助教授・大和開発観光とともに現状を共有化し、なにが出来るのかを検討する必要がある。やはり失われた自然を取り戻すことは並大抵のことではないのである。
【パートナーシップモデル事業】
 2002年度は「パートナーシップによる環境教育・環境学習モデル事業」に取り組み、報告書を提出した。取り立てて新しいことを行ったわけでなく、すでに行ってきたことをきちんとまとめたのである。今後もパートナーシップの観点を重視し、1+1が2にも3にもなるような関係を構築していきたい。
【会の運営】
 2002年度は始めての会費の値上げを行った。その影響もあってか会員数が減少している。積極的な会員勧誘が必要である。
 事務局メンバーがこのところ固定しており、フレッシュさにかけるのが正直なところである。各取り組みについてまず事務局員が新鮮で面白いと感じられる工夫を追求したい。当然、新しい事務局メンバーを迎えることは大切な課題である。
 そのため、事務局メンバーは催しに際してはできるだけ参加者に積極的に話しかけ、鉢ヶ峯の自然と会に対する理解を深めることができる対応力をつけたい。
 本会も10年を超える歴史を持つに至った。いろんな人の、いろんな興味と係わり方が尊重される、個人が尊重される参加して楽しい、充実した会の運営が今後の発展のために必要である。会の運営がスムーズに行くための裏方となる事務局メンバーの肩の荷は正直言って重いが、お互いに荷物を持ち合うチームワークの良い運営をしたい。
 総会での意見等
会計監査制度実施の提案 →本年度から実施予定
会員としてのメリットを明確化する案が提案される。今年度の検討課題
観察会参加費における保険代の控除、家族会員制の導入、メールでの機関誌送付サービス導入など。
その他、活動方針案に対する意見が出た。→上記において訂正済み