酪農団地の不法投棄事件に関する質問書への回答書を受理しました

第二豊田川と並び、野生のホタルがみられる法道寺川の上流にある、堺酪農団地において、産業廃棄物の不法投棄に関する刑事事件がおきました。南部丘陵の自然環境や野生ホタルの保全などに取り組む当会としても座視することのできない問題として、9月に、堺市と大阪府に質問書を提出しました。これに対し、堺市から回答がなされたので掲載します。

当会からの質問要旨
1. 今回の不法投棄事件について、誰が、いつ、なにを、どのようにして投棄し、その結果環境はどのような影響を被っているか、現状はどのような状態になっているか。
2. 不法投棄物を、誰が、いつ、どのような方法で撤去するのか、また、そのためにかかる費用は誰が負担するのか。
3. 今回の不法投棄事件について、環境を守る行政の立場からどのように受け止めているのか、また、堺畜産農業協同組合(以下、組合という)に対して、今後環境問題についてどのような対応を行っていくのか。
4. 今回の事件と組合とのかかわり、及びその背景についてどのように把握されているか。
5. 今回の事件について組合の役員が関わっていることが明らかとなった場合、「堺酪農団地活性化基本計画」の実施中止を含む抜本的見直しが必要と考えるが、いかが。
  また、現在大阪府が事務局として進めている「堺南部丘陵の地域振興と自然環境を考える会」のメンバーとして、組合は、適格性に問題があると考えるが、いかが。

以下は堺市からの回答文

平成15年9月30日

鉢ヶ峯の自然を守る会
代表 清水 俊雄 様

堺酪農団地における産業廃棄物の不法投棄について、
実態の把握と原因の究明を求める質問書

堺市産業振興局農政部
部長 小畑 拓治
堺酪農団地における産業廃棄物の不法投棄に関する
実態の把握と原因の究明を求める質問書に対する堺市の見解について

 平素は、本市の農林水産行政の推進について、格別のご協力、ご支援を賜りまして 誠にありがとうございます。
 標記につきまして貴会から2003年9月16日付で郵送されてまいりました「堺酪農団地における産業廃棄物の不法投棄に関する、実態の把握と原因の究明を求める質問書」に対する回答を以下のとおりいたしますので、よろしくお取りはからいいただきますようお願いいたします。
 堺酪農団地への産業廃棄物の不法投棄問題や同組合敷地内のため池への牛尿投棄問題につきましては、市議会でも議論になりましたとおり真摯に受け止め、府とも連携し、同組合に反省を促すとともに強力に改善指導を行っているところでございます。貴会からの、質問につきましては、別添調査報告を含め、下記のとおりの見解でございますので、ご理解の程 よろしくお願いいたします。
 なお、「天濃池ビオトープの会」における貴会とのパートナーシップによる活動や「(仮称)南部丘陵の地域振興と自然環境を考える会」における地元等関係者との協働を目指した取組みは、今後とも、継続して実施して参りたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

(質問1)について
○産業廃棄物の不適正保管並びに不法投棄に関する報告書(平成15年9月10日付 堺市環境局環境共生部、産業振興局農政部)から、
エーダイ開発(株)が保管中の木くず、紙くず、金属くず、廃プラスティク類等の産業廃棄物を、平成15年1月16日から同年2月22日までの間、計41回にわたって堺酪農組合所有の土地まで搬送し、合計役563立方メートルを不法に投棄したものです。
不法投棄された廃棄物は、主に木くず、紙くず、金属くず、廃プラスティク類等の産業廃棄物であるため、水質汚濁を引き起こす可能性は小さいと考えられますが、念のため、不法投棄現場下流直近の酪農団地内水路において、流出中の有害物質に係る水質分析を3回行ったところ、異常値は認められませんでした。
また、この不法投棄物については9月19日〜10月4日(完了予定)の間に、堺酪農組合が自主的に産廃物の撤去作業を実施中であります。
(質問2)について
○産業廃棄物の不適正保管並びに不法投棄に関する報告書(平成15年9月10日付都市環境局環境共生部、産業振興局農政部)から、
上述しているように、不法投棄物(エーダイ開発(株)により不法投棄された廃棄物)については、9月19日より、堺酪農組合が自主的に産廃物の撤去作業を実施し、10月4日までに投棄物を引き上げ、運搬し処分する予定であり、運搬及び処分についてはそれぞれ、業務許可を持つ業者に委託して実施しております。
また、費用については、酪農団地が一時的に負担し、最終的にはエーダイ開発(株)に請求するものと聞いております。
(質問3)について
○堺酪農団地は、約1,000頭の乳用牛を飼育し、府内の1/3の牛乳を生産している大規模な酪農施設であり、行政としても従来から環境保全を目的として、ふん尿処理施設の整備を支援、指導してきたところでありますが、今回の不法投棄事件や敷地内のため池への牛尿投棄問題は、組合役員の環境問題に対する認識の甘さは否めず、非常に残念なことと考えております。

○堺酪農組合に対しては、環境問題に対する認識を改め、団地内の環境整備について自ら点検し、第三者に対しても納得できる改善策を実施するよう、府並びに市環境局ともに指導、監督を行ってまいります。

(質問4)について
○安井議員から酪農団地に対してゴミを置かせてほしいと要請があった。議員とは以前から恩師を通じて個人的な繋がりがあったと聞いておりますが、組合自身の環境問題(産業廃棄物処理等)への認識の甘さがあったことも否めないと思います。
(質問5)について
○今回の事件に関しては、書類送検されていた役員2名が起訴され、罰金刑を受けたと聞いております。
 上記役員2名は役職を引責辞任し、9月24日の臨時総会において、新役員が選出され、新体制にて組合内部の体質改善とともに、団地の本格的な環境改善に取組んでいるところであります。

○今回の事件を契機として、本市といたしましても酪農団地が地域の自然環境や生活環境に大きく関わっていることを再認識し、より一層の環境保全対策を盛り込んだ「堺酪農団地活性化基本計画」の実現を目指す必要があると考えております。
 「(仮称)堺南部丘陵の地域振興と自然環境を考える会」のメンバー問題については、30haもの広大な敷地を有する酪農団地が南部丘陵地域の自然環境に果たす役割は大きいことから、「考える会」のメンバーとしては不可欠であると考えております。酪農組合が今回の一件に関して真摯に受け止め、今後は自ら環境改善に取組むことが意思確認されたことから、むしろ地域の環境問題に対して積極的な関わりを望むものであります。
 なお、酪農組合役員は9月22日に市長、正副議長を訪問し謝罪と抜本的な改善に取組む趣旨の意思表明を行っております。また府と協力の下9月29日に指導を行ったところ、酪農組合員(当日10名出席)の意識改革と早急に自ら環境改善対策に取り組む姿勢が認められております。