天濃池ビオトープづくり(報告その5)

― 明正川源流の沢歩きと天濃池進入路・堤の草刈り活動 ―

野口 隆司

 当会が事務局の一員を担っている「天濃池ビオトープの会」が15年3月に発足して、早や2年が経ちます。この間、鉢ヶ峯の溜池での水生植物観察会や天濃池への水生植物の移植活動やモニタリング、池の堤などの草刈り作業など様々な取組みを行ってきたところですが、近況活動を報告します。

位置図 昨年6月に実施した「第二次水生植物移植作業」に続けて、11月行事として「明正川源流の沢歩きと天濃池進入路・堤の草刈り活動」が行われました。昨年3月の同会メンバーで行われたワークショップ のなかで「今後の望まれる活動」として「天濃池及びその周辺の自然観察会」が一番多かったため、この行事が企画されました。

 11月20日(土)、午前9時45分に鉢ヶ峯構造改善センターに集合。鉢ヶ峯の圃場を通り、ハーベストの丘を右手に見ながら明正川へ降りるところへ30分ほど歩いて明正川の川岸に到着。早速、皆さん長靴をはいて、いざ、沢歩きに出発。明正川は石津川の支流の一つで、源流部は堺市内で最も深い森の中を南北に蛇行し天濃池の東側に位置します。源流を遡るとシダやコケで緑に彩られたV字の渓谷美の風景を満喫することができます。例年なら天濃池周辺は秋の深まりのなかでコナラの木々が黄葉に染まり始める頃ですが、今年は秋の移ろいが遅いのか木々の葉はまだ青々しています。

 参加者はせせらぎをチャプチャプと歩きながら「堺にこんな渓谷美の所があったの、堺も見捨てたもんやないね。」、「小さな魚がたくさん泳いでいる。」、「あっ、石の下でサワガニ見つけた!」の声。「下流の水はきれいやけど、上流はゴルフ場なので上へ行けば水が汚れているんですよ。」の会話も聞こえる。40分程歩いて休憩がてら大阪府立水生生物センターの宮下センター長から途中で捕まえたサワガニやカワヨシノボリ・カワムツの魚などの説明を聞く。「上流はどうなっているやろ?、もっと源流へ行きたいなぁ。」と惜しむ声のなかで午後のプログラムの関係で沢のぼりしたルートをUターンして天濃池へ。

 小春日和の昼下がり、天濃池の堤での昼食後、アドバイザーの麻生さんの説明を聞きながら第二次移植水生植物の生育状況のモニタリング。空梅雨と夏の猛暑の影響もあり移植結果は芳しくありませんでしたが、ヨシなどは逞しく根付いています。その後、昨年に続けて進入路と堤の草刈りを開始。各自、カマを持って約1時間30分の作業で池周辺はすっかりリフレッシュ。参加されたみなさんも秋の里山で身も心もリフレッシュ。
 
 この間、ビオトープづくりを進めるなかで移植植物が十分に根付かないこと、会員の参加が減少しつつあること、会活動費用の確保の仕方など、様々な問題や課題も見えてきています。今後、少しでも取組みが進展するよう、事務局の一員として協力していきたいと考えています。 

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