第二豊田川のホタルの生息環境を考える集い(報告)

― 鉢ヶ峯のホタルの再生を願って ―

野口 隆司

位置図 1991年6月、偶然に当会メンバーが第二豊田川で何千頭という数のホタルを発見して、今年6月で15年を迎えます。発見時、アカマツの枝や葉にとまっているホタルの光がイルミネーションのように輝き、川沿いを乱舞するシーンを今も忘れることができません。それ以来、毎年6月に2回開催する「ホタル観察会」は当会のメイン行事の一つになっています。観察会には往復ハガキで数百名の参加申込みがあり、毎回、抽選しなければならないほど人気があります。子供たちを含めて100人を超える市民が列を連ね、通称「ホタル橋」を中心に乱舞するホタルのページェントにあちこちで歓声が沸き起こります。

 ところが、ここ数年、ホタルの発生状況に異変が見られ、当会のメンバーが2000年からはじめている「ホタルのルートセンサス調査」からもホタルの発生数の減少と確認場所の変化が明らかになっています。そのようななか、昨年10月に和歌山大学システム工学部の養父志乃夫教授を現地に案内し、ホタルの息環境の現状を見ていただき、修復についてのアドバイスをいただきました。
そこで、市内でも僅かな生息地である第二豊田川のホタルの保護と生息環境の再生を願って「鉢ヶ峯・第二豊田川のホタルの生息環境を考える集い」を昨年末に企画し、1月24日(月)午後6時30分から泉北府民センターで開催しました。集いには大阪府から第二豊田川の河川管理者である鳳土木事務所や泉州農と緑の総合事務所耕地課堺分室、堺市からは環境共生課、農政部南部丘陵担当の関係部局の職員を含め当会会員など17人の方々が集まりました。

 はじめに、当会の酒井さんから「ホタルのルートセンサス調査結果」などの報告。
1991年のホタルの発見時は、ホタル橋付近はヘイケボタルでしたが水田が放棄されてヘイケボタルが減り、その結果、絶対数が減少しゲンジボタルがメインになった。
当時、川床にカワニナも沢山いたが、橋の上流、下流ともツルヨシが繁茂し、又、川沿いは樹木で覆われて川が暗くなったためか、最近は明らかにカワニナ減っている。
2000年から2004年の6月期に川沿いで確認したホタルの頭数が年々、減少し、特に昨年は激変している。
 などの話がありました。
 次に和歌山大学の養父先生から「ホタルの生息環境の現状と修復」について、主に以下の説明を受けました。
ホタルの生息環境の劣化原因として第二豊田川では、@河床や河岸の構造変化(河床への土砂の堆積。ツルヨシや樹木の繁茂による暗部の増加、周辺の水田の放棄)、A河床の構造変化によって、水底のコケ類の減少 → コケを食べるカワニナの減少 ※人工飼育下でゲンジボタルの幼虫1頭がさなぎになるまでの期間に食べるカワニナは親貝に換算して10〜15匹 → カワニナを食べるホタルの減少という悪影響の連鎖が生じている。
ホタルの生態環境の修復として、@大型重機でなくできるだけ人力を中心に砂州や瀬、小規模な溜まりを形成し流路を修復する、A土嚢堰堤を設け少雨期の水位の確保と、落差工による溶存酸素の増加を図る、B河床に日光が入るように繁茂したツルヨシ刈り、川を覆う樹木の剪定・伐採によるカワニ生息環境などの修復が必要。
荒廃した自然生態系の修復は作業の竣工から生態系の育成管理を施すために2〜3年の期間が必要であり、又、モニタリング調査を行う必要がある。
河川法や砂防法等の改正で管理面や改変時に環境に配慮することが必要となり、行政として生態系の保全と復元を追求することが必須となっている。
ホタルだけでなく水生生物の生息環境の修復を進めるに当たって、行政との協働を図ることや子供たちへの環境教育(例:危険を学ぶなど)の視点も踏まえた取り組みが大切。
 参加者から養父先生への質問の後、短時間でしたが参加者間で「堆積した土砂、刈り取り等のツルヨシや樹木の処分は市民レベルでは限界がある。」、「第二豊田川の東側の樹林地は民有地であり、地権者や地元市民の理解と参加が求められる。」、「河川管理者として第二豊田川の浚渫予算の要望をする考えはある。」、「市民と行政の協働の仕方が今後の検討課題」などの意見交換がされました。

 当会として上述の点も踏まえてホタルの生息環境の修復・改善に向けて検討しなければならないテーマは沢山ありますが、この集いを機会に関係行政機関や市民が共通認識に立ち、市民と市民、行政と市民のパートナーシップによる取り組みへの第一歩になったと考えます。今後、会員の皆様のご協力を宜しくお願い致します。

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