野口 隆司 |
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1.経過 |
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第10回堺南部丘陵の地域振興と自然環境を考える会で鉢ヶ峯の里山再生を試験的に取組むことが話合われてきました。その後、5月30日開催の第11回南部丘陵を考える会で、かつて棚田として利用さえながら耕作放棄され、現在、荒廃地に変わっている内河池の東側と南東側の計3箇所を里山再生試験区候補地として堺市から示されました。本会からも第ニ豊田川沿いで水田だった所を提案しました。
地権者に里山再生試験区の利用のお願いをするに当たって、どのような再生をするのかなどを説明する必要があることから、事前に4箇所の候補地の現地調査を実施した後に、本会で以下の「里山再生試験区の取組みプラン案」を作成し、次回の南部丘陵を考える会に提案することになりました。 ※ 詳細は大阪府泉州農と緑の総合事務所HPをご参照ください。 |
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2.再生試験区の現地調査 |
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「第11回堺南部丘陵の地域振興と自然環境を考える会」で提案された里山再生試験区候補地の現地調査を7月30日(土)に実施。 ※調査参加者:大阪府泉州農と緑の総合事務所耕地課堺分室/森川主幹、他4人 堺市農政部/松井部長、他1人 (社)大阪自然環境保全協会/高田会長 鉢ヶ峯の自然を守る会/米道代表、他5人 |
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【現地調査結果】 | ||
○内河池東側ブロック | ||
(a) | 東岸奥の棚田は、今年、休耕しているが、下の棚田は水田として利用。 | |
(b) | 内河池東岸沿いの田圃は耕作放棄され昨年よりもセイタカアワザチソウが背丈以上に繁茂しており、立ち入れない状態。 「恒昭会」と表記の新しい境界石あり。 |
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○内河池東南側ブロック | ||
(c) | 内河池南東岸沿いは放棄田でアカメヤナギの中木も点在。「恒昭会」と表記の新しい境界石あり。 | |
(d) | 南東側奥の放棄田に繁茂しているネザサをやぶこぎして、奥の小さな溜め池まで行く。溜め池にはジュンサイが植生。10年程前に酒井さんが撮影した当時の美しい景観の棚田写真と見比べながら、背丈を越えるネザサの現状に唖然とするが、ジュンサイの池に今もジュンサイ生き残っていたことに感激する。 | |
○第二豊田川沿いブロック | ||
(e) | ホタル橋上流の放棄田は相当以前に放棄されたために雑木林化している。又、そこに渡る橋が近くにない。 | |
(f) | ホタル橋のそば(カスミサンショウウオの池の北隣り)の放棄田は、アカメヤナギが点在しているが、谷筋→溜め池の水が流れ込んで湿地化している。 | |
(g) | ホタル橋下流の放棄田もブッシュ化している。なお、第二豊田川の管理道路から橋を通って行ける。 | |
3.里山再生試験区の取組みプラン(案) |
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(1)目的 |
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本取組みは、鉢ヶ峯寺地域の里山で地元地域の方々をはじめ幅広い層の市民や行政が協働して里山再生のグラウンドワークを実験的に取組み、「里山再生の目標像づくり」や「里山再生活動の進め方・仕組みづくり」をめざす。 | ||
(2)里山再生試験区の選定 |
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現地調査による候補地の従前の状況や現況を踏まえて、候補地の中で内河池東南側ブロック−(d)及び第二豊田川沿いブロック−(f)の2箇所が適切と判断する。 | ||
第二豊田川沿いブロック−(f)を優先的に取組み、取組みの展開などを勘案してブロック@-(d)を第2次再生試験区として位置付ける。 | ||
(3)里山再生試験区の目標像 |
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○第二豊田川沿いブロック−(f) 試験区面積:約500平方メートル | ||
(第1ステップ) | ||
アカメヤナギの選伐やネザサ等の下草刈りなどの里山管理作業を行う。 | ||
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(第2ステップ) | ||
隣接の谷池(カスミサンショウウオの産卵する池)からの水が流入し、一部、湿地化していることから湿地復元を図り、ホタルやトンボなどの水生生物のビオトープの復元・創出を図る。 | ||
第10回南部丘陵を考える会で、本会が提案した「こんな里山がいいなぁ−里山公園構想」の試行として湿地復元エリアに隣接する場所にシイタケ栽培やカブトムシやクワガタムシ等の養殖などを取組む。 ※シイタケ栽培に用いるホダ木は東西道路築造に伴い伐採されたコナラの木を利用する。 |
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↓ | ||
(第3ステップ) | ||
地権者の了解、用水の確保等の条件が整えば水田化をめざす。 | ||
○内河池東南側ブロック−(d) 試験区面積:約570平方メートル | ||
(第1ステップ) | ||
現況がネザサでブッシュ化しているため、田や畦などの草刈り作業を行いながらネザサの植生駆除を実施する。 | ||
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(第2ステップ) | ||
田圃の耕運を行うなどし、用水の確保等、棚田復元の与条件を検討・検証しながら、将来的に棚田復元を目指す。 | ||
(4)活動の進め方と仕組み |
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@活動の進め方 | ||
再生試験区取組み期間は概ね3年〜5年を目処とする。 | ||
計画→実施→検証の順に進めながら、各過程で状況に順応したアダプティブマネージメント型の取組みとする。 | ||
オーバーワークにならない程度の活動プログラムとし、楽しく継続的に取組めるようにする。 | ||
できる限り、「収穫・生産」や「活動のやりがい」を生み出す企画を心がける。 | ||
A活動の仕組み | ||
里山再生試験区の取組みは「堺南部丘陵の地域振興と自然環境を考える会」の活動とし、市民・行政とのパートナーシップに基づき実施する。 | ||
考える会の中に、地元関係者・農業団体・環境団体・行政(府・市)で「(仮称)里山再生試験部会」を新設する。 | ||
鉢ヶ峯の里山再生作業毎に広く市民に参加募集し、プロジェクト方式で里山再生のワーキングメンバーとして参加してもらう。 | ||