東西道路(高架道路区間)での自動車ヘッドライトによる
光害影響の現地走行試験結果について(報告)

報告者 野口 隆司

 東西道路は、今から約20年前に鉢ヶ峯寺地区で計画されたゴルフ場開発に対して堺市が認めない代わりに、ゴルフ場開発予定地の一部に「農業公園ハーベストの丘」を建設し、泉北2号線からハーベストの丘〜堺酪農団地までを東西に結び、地域の活性等を図るためということで計画されました。
 既に泉北2号線からハーベストの丘までは開通していますが、残りの区間は平成25年の竣工予定です。ハーベストの丘から堺公園墓地の手前までの区間(約0.5km)は堺市が施工中で、同公園墓地〜堺自然ふれあいの森〜堺酪農団地までの区間(約1.4km)は大阪府が、現在、工事をしています。大阪府の工事区間のうち、公園墓地沿いは平面道路で、第二豊田川と法道寺川の合流部から「堺自然ふれあいの森」の森の館前〜酪農団地方面にかけては高架道路として工事が進められています。
 本会は、本道路ルートが明らかになった段階で、樹林地の伐採や溜池の埋め立てなど自然破壊となることからルート変更等の申し入れを行い、又、大阪府建設事業評価委員会に対して意見書を提出するなどの取り組みを行ってきました。その後、残念ながら道路工事が着手され、大阪府・堺市等で構成する「里山に配慮した農道づくり検討会」をつくり、道路造成による谷筋や第二豊田川への土砂や濁水の流入防止などの自然環境への負荷の軽減対策、道路法面に「埋土種子表土吹付工法」による緑の復元などを話し合ってきました。
 また、道路供用後の環境負荷への軽減対策として、@急カーブになっている第二豊田川と法道寺川の合流部の橋の照明灯(ただし道路面だけを照らすもの)の設置以外は街路灯を設置しないこと、A高架道路区間での自動車ヘッドライトの漏れ光によるホタルやフクロウなど夜行性の生き物への光害の防止策を講じること、そのために高架道路区間で夜間の自動車走行試験の実施することを確認しました。
 高架道路が一部舗装され自動車走行試験ができるようになったため、今年2月2日(火)午後6時半から、大阪府・堺市の関係課、大阪自然環境保全協会、堺ふれあいの森「いっちんクラブ」、本会など、総勢約30名でヘッドライトによる影響範囲の実証を行いました。
 高架道路のカーブポイントで縦約1.1m、横約10mのブルーシートを高架道路の側壁に見立てて、設置した場合としない場合の周辺へのヘッドライトの照射範囲を比べました。
 
高架道路での自動車を走行結果は以下のとおりです。
1. 高架道路下の法道寺川(関電鉄塔〜第2豊田川合流下流の橋)、第2豊田川の直下には、漏れ光はほとんどなし。
2. 堺酪農団地から右カーブになるポイントは、北へ走行するにつれて、ふれあいの森の中腹樹林地〜森の館へ帯状にヘッドライトが照射。シートをセットした場合、自動車が近付くにつれて照射の縦幅が1/2程度に減少。
3. 2のポイントから麦尾橋手前の左カーブのポイントは、第二豊田川合流下流〜公園墓地にかけて照射。シートをセットした場合、自動車が近付くにつれ照射の縦幅が1/2程度に減少。
4. 第二豊田川合流部から東にカーブするポイントは、ふれあいの駐車場東側の樹林地を照射。シートをセットした場合、自動車が近付くにつれ照射の縦幅が減少。
 
以上が調査結果の概要ですが、高架道路に高さ1.1mの道路側壁を設置することでヘッドライトの照射範囲が一定減少することがわかりました。試験後の話し合いの中で、
(1)道路側壁をもっと高くすること、
(3)側壁高のアップに伴い景観に配慮した側壁の意匠・色彩にすること、
(3)側壁表面を光が吸収する仕上げにすること
などの意見がだされ、今後、走行試験結果や各意見を踏まえて、大阪府が対策案を提示することになりました。

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