2009・2010年 ニホンアカガエル産卵調査(報告)

報告者 野口 隆司

 
 会の発足以来、各種の自然観察会のほかに、「ホタル・ルートセンサス調査」、「カスミサンショウウオ産卵調査」、「カワニナ・カウント調査」、「クロメダカの生息調査」、「オオタカ生息調査」、「第二豊田川の水生生物調査」など、鉢ヶ峯の里山の生き物調査を行ってきました。昨年、里山の保全を進めるために生き物の調査活動を充実させる必要があるとの議論がされ、新たに21年から里山の代表的な生き物である「カエル」の生息調査を実施することにしました。
 現在、鉢ヶ峯の里山には、ニホンアカガエル、トノサマガエル、ツチガエル、ヌマガエル、シュレーゲルアオガエル、ニホンアマガエル、ウシガエルの7種類の生息を確認しています。

 3月初めの「啓蟄」には、冬眠から目覚める生き物の一つにカエルの名があげられます。カエルの繁殖期は、ほとんどの種類は晩春から初夏にかけてですが、ニホンアカガエルは肌寒い2月上旬頃に産卵を開始し、春の訪れの時期を知る「指標生物」と言えます。また、アカガエル類の産卵場所は、林に近い日当たりのよい水田や湿地・ため池で毎年同じ場所に産卵することが多く、生息環境や繁殖エリアの自然破壊の程度と密接に関係する自然環境の変化を測る「指標生物」になっていると言えます。

 昨年と今年の春、左上図のとおり、鉢ヶ峯圃場・谷津田エリア(A)、ネキトンボの池の谷津田エリア(B)、勾玉の水田(水路)エリア(C)、第二豊田川ホタル橋エリア(D)、堺自然ふれあいの森エリア(E)、公園墓地北側の棚田エリア(F)の6つのエリアで、ニホンアカガエルの卵塊(オタマジャクシ)等の分布調査(下表の調査結果を参照)を行いました。
(A)(B)(C)(E)の水田では耕運機のタイヤの踏み跡等の水たまりや(B)(C)(E)の水位の不安定な水路で多く産卵し、孵化したオタマジャクシが一塊りになって泳いでいるのが確認されています。
(F)の尾根沿いのため池ではウシガエルのオタマジャクシしか見られず、一方、(C)(D)のため池の水際でニホンアカガエル卵塊が確認されており、ため池の位置や環境条件で左右されるのかもしれません。
調査結果は下表(他の確認した生き物も記載)のとおりですが、2年間だけの調査であり、又、調査方法や定点調査の徹底などの課題を残しています。ホタル・ルートセンサス調査の夜に、第二豊田川沿いでシュレーゲルアオガエルの鳴き声をよく聴きますが、ニホンアカガエル以外のカエル調査の実施や調査エリアの拡大等の活動を充実させることが求められます。そのためには、参加していただける方を増やすなど調査体制の確保等が必要と考えます。皆さんのご協力をお願いします。
ニホンアカガエルの卵塊谷津田の水たまり
  写真 左: ニホンアカガエルの卵塊
  写真 右: 谷津田の水たまり
 
【21年春の調査結果】
 
【21年春の調査結果】
 

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