講演「里山の生物の多様性」と「鉢ケ峯の残土処分(開発)問題を考える」集い

岸田元男

日時 11月27日(土)13:30〜16:30
会場 栂文化会館第二講座室
 鉢ヶ峯の最深部、明正川の源流を埋め立て、グラウンドを作る計画問題を共有し、対策を考えるための集いを11月27日に持ちました。
 鉢ヶ峯の植物や野鳥の資料が掲示された会場に当日集まったのは56名。たいへん多くの方がこの問題に関心を持っていることを実感しました。
 第一部では名古屋大学大学院教授の夏原先生より、「里山の生物多様性について」と題する講演をしていただきました。10月に生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が名古屋で開催されたことで改めて注目された生物多様性の側面から里山の自然の豊かさと貴重さについてお話しいただき、鉢ヶ峯が大阪府では山間部以外における自然が残る空間として大変貴重であり、壊しては取り返しがつかないことになるが理解できました。
 続いて堺自然観察会からは「22世紀に残したい堺の植物」についてと題し、最近まとめた資料を基に、予定地を含む鉢ヶ峯の植物の貴重さについて報告があり、堺野鳥の会からは「レッドリストの野鳥から見た堺(南部丘陵)の自然」として、鉢ヶ峯では多様な環境が残ることにより、猛禽類を含む多種にわたる野鳥が見られることについての報告がありました。
 休憩を挟み、第二部では鉢ヶ峯の自然を守る会の野口さんより、開発計画の概要、環境評価条例の流れ、堺市のこれまでの自然環境保全についての取り組み、今後の対応等について説明がありました。
 続く意見交換では、この間堺市議会においてこの残土処分問題を取り上げてこられた田中市会議員より、開発手続きと法的規制についての報告があり、城市会議員からもこの問題についての行政や地元の動き等についての説明がありました。
 会場からは、グランド整備に名前を借りた残土処分目的ではないのかとの疑問の声、生物資源の持っている潜在的価値から開発をとめられないのかとの意見、生物多様性基本法に基づく対応について検討すべきであるという意見、関心を持つものとして具体的に何をすればいいのか等の積極的な発言等が続出、この問題についての関心の高さが伺われました。
 後日の鉢ヶ峯の自然を守る会の定例会では、「沢山の人が参加して会場が一杯になり、集いが成功したと思う。会員以外の人も参加され、関心をもっておられると感じた。」という評価する意見が出た反面、「現状の問題を共有することが出来たが、今一歩活動提起が出来るところまで行かなかった」という反省点も出され、今後に生かしていくことを確認しました。
 最後に当日会場に来ていただいた皆さん(市会議員、元府会議員の皆さん)、報告していただいた方々、基調講演をしていただいた夏原先生(当日急遽パソコンまでお借りして恐縮でした)、準備をしていただいたスタッフの皆さんに感謝申し上げ、報告が遅れたことをお詫びします。

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