東西道路(高架道路区間)通行の自動車ヘッドライトによる 光害対策について(中間報告)

 1990年当初、鉢ヶ峯寺地区でのゴルフ場開発に対する不許可の代替対策として計画された「東西道路」は、平成25年度竣工予定でハーベストの丘から堺酪農団地までの区間で工事が進められています。東西道路が開通した場合、河内長野市との連絡道路となり、さらに酪農団地の東側隣地で「堺カントリクラブ」が冬季を除いて年間を通してナイターゴルフの営業がされていることから夜間も相当数の自動車交通が予想されます。
 この間、本会と大阪自然環境保全協会、大阪府、堺市で「堺南部の里山に配慮した農道づくり検討会」を立ち上げ、道路築造に伴う環境負荷の軽減対策等について協議をしてきました。環境負荷問題の1つとして、本会から道路開通後の通行自動車のヘッドライトによる周辺の森やそこに棲むホタルやフクロウなど夜行性の生き物への光害問題を取り上げました。東西工事区間のうち、公園墓地沿いまでは平面道路ですが第二豊田川と法道寺川の合流部から「堺自然ふれあいの森」の森の館前〜酪農団地方面にかけては高架道路になっており、ヘッドライトの漏れ光が広範囲にわたって沿道の森などに照射します。
2年前に高架道路で自動車走行試験を実施
 高架道路の車道が仮舗装され自動車を走らすことができるようになったため、平成22年(2010年)2月2日(火)の夜、本会、行政など総勢約30名でヘッドライトによる影響範囲の実証を行いました。高架道路のカーブする区間に縦約1.1m、横約10mのブルーシートを高架道路の側壁に見立てて、設置した場合としない場合の周辺へのヘッドライトの照射範囲を比べました。
 その結果は、高架道路下の法道寺川(関電鉄塔〜第2豊田川合流下流の橋)、第2豊田川の直下には、漏れ光はほとんどないものの、西行きの走行車はふれあいの森の中腹樹林地〜森の館へ帯状にヘッドライトが照射し、さらに第2豊田川合流下流〜公園墓地にかけて照射、東行きの走行車はカーブする区間でふれあいの駐車場東側の樹林地を照射するなどのことが明らかになりました。このことから、高架道路の側壁をできるかぎり高くすることなどを指摘し、道路施行者である大阪府は走行試験結果や各意見を踏まえて、対策案を提示することになりました。
大阪府から高架道路の高欄、遮光板等の計画提案が・・・
 昨年11月17日開催の「第24回堺南部の里山に配慮した農道づくり検討会」で、大阪府が高架道路高欄、照明施設等の計画について以下の提案がありました。
(1)高架道路の高欄について
東西道路の工事区間は危険なため人の立ち入りを禁止しているが、無断立ち入りの市民が往来し特に高架道路区間は高欄を設置していないため転落事故の危険性が高い。立ち入り防止の強化だけでは限界があるため、工事を繰上げて高欄設置工事をすることになった。
来年1月末(H24.1.31)から工期2週間で高架道路の両サイドに高欄(H=1.1m アルミ製)の設置予定。※高欄の色は堺ふれあいの森運営委員会から指摘があり、濃いダークブラウンを薄いダークブラウンに変更。
(2)高欄への遮光板の設置について
高欄側面と同じ1.1mの高さの遮光板を設置するが、高欄高さを超える遮光板を設置すると高欄の構造耐力の面から特別注文の高欄仕様になり工事コストが高くなるので難しい。
(3)高架道路の照明施設について
高架道路の橋梁区間が長いため、カーブの3ヶ所(H=2.5m)にソーラーLED照明灯(0.2〜0.3カンデラ/u)3基設置。通常の道路照明の半分の照度。なお、道路照明による環境影響を配慮して歩道を対象した照明に限定しており、自動車走行の安全対策としての車道照明は行わず道路高欄面に反射板設置での対応とする。
本会から環境負荷軽減対策の再検討を要望
 これらの計画案に対して、本会から次のことを指摘し、再検討するよう要望しました。
○高欄への遮光板設置について
遮光板の設置について、H22年2月にブルーシート(H=1.1m)で遮光板に見立てて車両走行実験をした結果、ヘッドライトが周辺に相当照射し、特に道路のカーブでふれあいの森の中腹に帯状に照射するなどことを確認した。この間の検討会で高欄の高さを1.1mであっても、遮光板の高さを1.1mよりも高くする旨の検討を指摘してきた。特にカーブ区間はさらに遮光板高を高くすることを検討するということを指摘した。この間の走行試験結果や協議経過から高欄高で遮光するという結論にはならず、再検討されたい。
○高架道路の照明施設について
環境省光害対策ガイドラインの基準を順守すること。なお、次回の検討会で、照明灯が照射する範囲と照度の予想データで説明されたい。また、ルーバーの設置をされたい。

 以上の話し合いの中で、同検討会会長から高架道路の高欄側面に遮光板設置した後に第二次の自動車走行試験(バン型と普通車の2種類)をし、その結果を踏まえて遮光板を落下防止柵と兼ねて高欄に取り付けする方法も考えられるとの提案があり、3月中下旬の夜に実施することを確認しました。
第二次の自動車走行試験日程等の詳細が決まりましたら本会HP等でお知らせしますので、ご協力いただける方はご参加をよろしくお願いします。

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