堺・鉢ヶ峯のナラ枯れ調査-2018について

報告/野口 隆司       

鉢ヶ峯の全エリアを調査しよう

  2016年から橋谷池や下車谷池周辺で徐々に始まったナラ枯れは、2017年には中央道などでも顕著になり、赤茶けた葉や根元のフラス、落枝、幹枯れ、倒 木とナラ枯れの様相が拡大していった。北摂ではナラ枯れは終結しているとも聞いたが、大阪南部(大阪狭山市や河内長野市)では広がりつつあった。
2018年、堺の南部丘陵にもナラ枯れが大挙、押し寄せてきた。鉢ヶ峯で自然保全保護活動をしている「鉢ヶ峯の自然を守る会」と「堺自然観察会」が共同 で、エリア全域のナラ枯れの実態調査を実施することにした。全域を20数か所に区分し、1か所を数名で担当。調査期間はカシノナガキクイムシがコナラに侵 入後、ナラ枯れの状態が出始める夏〜秋に行うこととし、6月に調査員の研修を終え、8月から徐々に調査が始められていたのだが...。

まさかの大型台風。被害甚大で、以後の調査は不可

と ころが、9月4日にまさかの大型台風21号が襲来。鉢ヶ峯の全域が甚大な被害にあい、コナラなどの大木が倒木。幹は裂け、枝は折れ、強風にさらされて葉が 赤茶けて落葉...と惨憺たる状況になり、立ち入り禁止区域も出て立ち往生。尾根筋も「ナラ枯れ」か「台風枯れ」が混然として判然出来ない状況となり、調 査を続行することが難しくなり、以後の調査は中止することになった。

調査済みエリアをプロット化、「中間報告」を作成/堺自然観察会

台風前に調査済みのエリアについては、全調査地の半分程度に当たり、鉢ヶ峯の里山の中心部でもあり、しかも予想以上にナラ枯れの被害が拡大していることが明らかになったため、ひとまず「中間報告」としてまとめることにした。

調査済みエリアは、*各エリア名は通称

・ 勾玉の田んぼの北方面の尾根(第二豊田川沿い〜ホタル橋)とオオタカ尾根方面(ゴルフ場方面) ・橋谷池周辺の雑木林〜竹林 ・下車谷池周辺(自動車教習 所裏と向かい側の尾根) ・鉢ヶ峯寺の集落 ・内河池奥道(ネキトンボ池〜湿地) ・内河池中道(中央道〜馬蹄形の田んぼ〜内河池手前、田んぼ向かい側の 尾根) ・ミカン畑道(中央道〜行き止まり) ・西鉢ヶ峯の尾根(泉田中南向かい側〜明正バス停〜集落前) ・東西道路(内河池前〜中央道トンネル下〜ふ れあいの森)
*妙見尾根については、詳細が不明であるため中間報告には未掲載とした

未調査エリアは、

中央道北〜南(鉢塚バス停〜T字路) ・第二豊田川合流点〜突堤付近 ・コナラの径(一軒家〜ホタル橋) ・ヤマザクラ道 ・ゴルフ場道(ゴルフ場前〜天濃池前) ・ツツジ尾根 ・谷津田の両サイド ・鳥だまり(雑木林) ・墓地外周と旧墓地
*「ふれあいの森」と法道寺の社寺林は本調査からは除外

■ナラ枯れと台風枯れ後の、里山のゆくへは...

 雑木林の回復については、長いスパンで自然の遷移を見守るしかないが、今後、ナラ枯れがどうなっていくのか、また台風による植生の変化や生き物への影響がどうなるのか、里山の生態系についても気がかりである。
 雑木林の回復については、長いスパンで自然の遷移を見守るしかないが、今後、ナラ枯れがどうなっていくのか、また台風による植生の変化や生き物への影響がどうなるのか、里山の生態系について見守っていきたい。

        

    
  被害木の根元には大量のフラス(木くず)が      立ち枯れしたコナラ

  


     

       コナラの斜面林一帯がナラ枯れに