天濃池の堤で「春の植物観察」を実施(報告)

報告:野口隆司




 4月2日(土)午前9時から天濃池ビオトープの会のメンバーで天濃池の本堤法面の植物観察を兼ねて植生調査などを行いました。
 ゲートから池へのアプローチ路を下ると、池の岸辺に満開のヤマザクラが目に入ります。池にはカルガモのワンペアが見られ、オシドリも池の奥に隠れていま したが垣間見ることができました。昨秋、茶色に濁っていた池の水は、少し青みががり、岸辺は池底が見えるほどに澄んで綺麗な水になっていました。この間、 雨が降らず上流の残土造成による濁り水が流入していないことによると思われます。
 前置きの報告はこれくらいにして、植物観察の報告とします。春を迎えて、堤のくさぼけの花は咲いたか!と、期待して土手を下りて見ると、残念ながら未だ 蕾の状態でした。次の土曜日ならきっと花を咲かせていることでしょう。
 参加者は5人と少なかったのですが、法面をこの若葉はなに?と、観察指導してくださった麻生さんの説明を聞きながら、たくさんの植物を観察することがで きました。さらに新発見は、草原の法面の下は尾根に向かって崖になっていて、崖面にはコモチシダが多数生えていました。さらに谷の下流部は池の余水吐けか ら流れ出た川(明正川の支流)に繋がり、大きなカワムツの魚影が沢山見られました。天濃池は「池の水辺空間」・「堤の半草原空間」・「湿度の高い小さな谷 空間」・「明正川支流の水辺空間」と多様な空間で形成されていることを再認識することができました。

 次に掲載するデータとコメントは、当日、麻生さんが調査結果としてまとめられましたものです。
 

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調査結果
クサボケの数:合計115本 (2011.4.2調べ)

A 15本(土手の天板付近左側−西側−)
B 89本(土手の中央部付近、斜面中間小段より下部)
    (B-1:3株、 B-2:84株、 B−3:2株)
C 4本(斜面最下部左側−西側−、階段近く)
D 4本(斜面中央部右より−東側−、小段より上部)
E 1本(D地点同レベル右側約3m地点)
F 2本(野口さん宅で実生により増殖した個体を再移植したもの)
*クサボケは地下茎を伸ばして増殖するため、1個体が複数の地上茎(幹)を伸ばしている場合があると考えられ、複数の地上茎(幹)が確認されても、地下部 で連結し、同一個体である場合があるが、今回は、地上に伸びている地上茎1本を1個体としてカウントした。
確認した植物

<開花> 
・クサボケ、タチツボスミレ、タネツケバナ、ショウジョウバカマ、
・池の周辺ではヤマザクラが満開、コバノミツバツツジは蕾ふくらむ、の状態でした。
<葉の出芽、展開>
・リンドウ、カワラナデシコ、ツルフジバカマ、ワレモコウ、ノアザミ、タムラソウ、ツリガネニンジン、ササユリ、ミツバツチグリ、ウバユリ、スイバ、コモ チシダ、カワラマツバ、スズメノヤリ、カナビキソウ、ウマノアシガタ、セイタカアワダチソウ、ゼンマイ、ススキ、ツルボ、ナキリスゲなど 
動物

天濃池でオシドリ2羽、カルガモ2羽、カワセミ1羽、土手の草地でルリタテハ、キタテ ハ?、モンキチョウ
周囲の森林で、ウグイス、ヤマガラ、シジュウカラ、イカル、メジロ、ヒヨドリ、ウソ、アオジ