トンボ連載その1

冬のトンボ−ホソミオツネントンボ

山本哲央

冬にトンボがいるというと意外に思われるかも知れませんが、日本には成虫で越冬するトンボが3種知られていて、いずれも鉢ヶ峯で記録されています。いちばん良く見られるのはこのホソミオツネントンボです。
 6月頃羽化した成虫は冬を越すまでは褐色の地味な色をしています。冬場の暖かい日は活動したりもしますが、色のせいもあり見つけるのは容易ではありません。4月に入り、水ぬるむ季節になると、水辺で交尾や産卵を行いますが、この頃には体色は鮮やかな水色に変化し、別の種かと思えるほどです。
 目立つ動作としてはセキレイ類が尾を上下に動かすように、このトンボも草にとまって尾(正確には腹部)を上下するくせ(?)があります。
 私は生態写真を集めたりしているので、一度雪の積もったときのこのトンボがとまっているところを写したいと思っているのですが、数もかつてほどいない上に、都市近郊で積雪というチャンスがそうあるわけもなく、未だに目的は果たせていません。
 
鉢ヶ峯での観察ポイント
 冬の間は、鉢塚バス停から南へ続く尾根の道路沿いの雑木林の中や、ツツジ尾根の道の真ん中でじっとしていたりもする。見つけにくいが、見つけると素手でも捕らえられることもある。