トンボ連載その3

6・7月のトンボ−ハラビロトンボ

山本哲央

トンボ目不均翅亜目トンボ科ハラビロトンボ属
ハラビロトンボはその名の通り、腹部の広い、小型のトンボで5月から9月ぐ らいまで湿地や休耕田でみられます。見頃は6・7月です。羽化して間もない頃は オスメスともに黄色地に黒い斑紋があってよく似ていますが、成熟するに伴ってオ スは褐色から黒い色に変化し、最後には青く粉をふいたようになります。メスはせ いぜい黄色の部分がくすむぐらいしか変化しません。若い個体もあまり水辺を離れ ることはなく、発生時期もだらだら続くため、一箇所でいろいろな成熟度の個体が 見られます。あまりスマートとは言えないトンボですが、頭部を正面から見ると、 額の部分が金属光沢のある青色をしているのが印象的です。 幼虫は水量の不安定なところで育つせいか乾燥に強く、干上がって他のトンボが姿 を消したようなところからしぶとく現れて驚かされることがあります。とはいえ耕 地整理のような人為的な変化には対応できず、近頃は生息地がめっきり減ってしま いました。
 
鉢ヶ峯での観察ポイント  水田の際の溝などで細々と見ることができる。内河池の周辺の湿地などでも見ら れる。