トンボ連載その4

8月のトンボ−ハグロトンボ

山本哲央

トンボ目均翅亜目カワトンボ科アオハダトンボ属
大阪では、かつては丘陵地の緩やかな流れでは普通に見られたトンボでしたが、河川の護岸な どの環境の悪化で今や珍しいトンボとなってきています。
 
梅雨入りのころから羽化が始まり、9月頃まで見られます。羽化して間もない若いころは薄 暗い林にかたまっていることが多く、成熟するにつれてひなたの流れに出てくるのがふつうで す。ただ、鉢ヶ峯ではひなたの流れにあまり良い環境が残っていないためか、成熟しても流れ の暗いところからあまり移動はしないようです。産卵は水辺の植物に行われ、幼虫は流れに露 出した木の根にしがみついて生活しています。
 
このトンボが黒いはねをハタハタとさせて飛ぶ姿は優雅で、極楽トンボとか、仏トンボと 呼ばれたりするのもうなずけます。
私自身、昔、お墓の近くの林でこのトンボの若い個体が沢山休息していた記憶が残っているせ いでしょうか、あるいは時節柄のせいとか黒い羽から抱くイメージもあるかもしれません。こ のトンボをじっと眺めていると、そこにありもしないハスの花とか線香の煙とかが目に浮かぶ ような気がすることがあります。
 
鉢ヶ峯では明正川などに見られます。