鉢ヶ峯の自然を守る会
岸田 元男
堺市内での所管は大規模開発協議会から大規模開発調整委員会へ移り(いずれも堺市の職員で構成)、具体的な開発計画について技術基準に照らしてに問題ないか、関係諸法令(森林法、大阪自然環境保全条例など)に照らして審査が行われることになります。このことは別所ゴルフ場開発について、堺市は認めるという基本的な立場を示し、今後開発に向けたレールの上を進めて行くことを決めた、と言うことです。
この決定についてわたしたちは以下の考えから抗議しています。(くわしくは抗議文参照)
・マスコミへの抗議声明の発表 9/3
・ネイチャースタッフ会議での対応協議 9/4
・大阪府企画室、緑の環境整備室との話合い 9/9
府担当者の話
計画地については森林法と大阪自然環境保全条例が該当するだろう(砂防法は対象外だろう)。 いずれも担当部署は緑の環境整備室 | |
一般的に言って森林法でゴルフ場を不許可にすることはできない。 | |
正式な申請書が出ていないので具体的には言えない(知らない)。 | |
行政としては不許可にしたくとも法的な透明性から基準をクリアしていれば、認めざるを得ない。 (開発者が訴訟を起こしたときに敗訴する。) | |
別所については詳しい話は聞いていない。堺市としての判断をしてから府へ持ってくるように指導している。 | |
大阪府「ゴルフ場開発に関する取扱い方針」は堺市が許認可権を持つので適用されない。 |
・堺市企画調整部との話合い 9/10 抗議文を読み上げた後、堺市の見解を正す。
堺市の回答・見解 −山田部長
(ゴルフ場による自然破壊についての認識を正したのに対して) 土地の活用行為には、いかなる形であっても自然への影響はある。南部丘陵懇話会の提言は南部丘陵の全体について保全の網掛けをするということではない。立地条件の承認に当たっては南部丘陵基礎調査のランク付けで、計画地がB,Cゾーンであることをを参考にした。 | |
(ゴルフ場による地域振興について) 地元優先の、高齢者対策を考えた雇用を行う。具体的な職種・雇用人数については事業者が決めることでまだ聞いていない。オープン後の雇用実態の把握、指導については行うつもり。地域振興とはあくまでもゴルフ場があるときとないときを比べた相対的なものだ。 | |
(堺市は具体的な自然保全施策を行っていないではないか、という追求に対し) 庁内で協議中である。具体的なものがないと批判されても何とも言い様がない。「緑の基本政策」を策定中。 | |
(緑の連続性についてはどう考えているのか) 維持することは難しい、としか言えない。みなさんの言うことを聞くと現状に手を入れるな、と言うことになる。あなたがたも自然を壊して作ったニュータウンに住んでいるではないか。地元の人とゴルフ場との間には土地の賃貸契約などが発生している。市としてそれを断ち切ることはできない。不許可にし、賠償責任を問われたときのことを考える必要がある。人と生き物とどちらが大切かということだ。 | |
(鉢ケ峯ゴルフ場の時との整合性は) 面積の大きさ、自然環境への影響が違う。南部丘陵整備計画での重点整備ゾーンと重なっていた、ということもある。 | |
(市民意向との整合性は) 市民意向だけではすべては決められない。今回の意見書、反対署名も判断材料とした。 | |
(公益性とは具体的に?) ハイキングコースと桜の広場(計画地外)の整備。無料で常時開放。 | |
(自然環境の配慮とは) レッドデータブック記載種については生息域保護をできるだけ広く取るよう指導した。その結果、ゴルフコースを後退させ、当初計画よりもさわらない面積を広くした。切り土・盛り土の面積を最小限にしている。 | |
(アカシデ林については?) 専門家の評価は分かれる。専門家2人に聞いたが、2人とも10年ほどの遷移によって消滅すると評価は低かった。 | |
(アセスメントもどきの内容は) 貴重種の調査と対応の仕方について報告させた。環境保全部で、事業者の報告に基づき、植物と生物(両生類)の専門家が同行して現地調査をした。 | |
(鉢ケ峯の地元では納得しているのか) 私は直接接触していないが、鉢ケ峯の時とは別の件としてご承知していただいている。 | |
(今後の審査について) 大規模開発調整委員会で技術基準を審査する。事務局は開発指導課。 | |
(大阪府「ゴルフ場開発に関する取扱い方針」についてはどのようにとりあつかうのか) 遵守する。 | |
(その他) 「鉢ケ峯の自然を守る会」が考える緑の保全の考え方あり方について現在第4次総合計画を作成中なので意見を聞きたい |
午後7時より約1時間半の会見。途中時間設定、市の回答内容、こちらの追及姿勢についてなど、互いに声を荒げる場面あり。ゴルフ場による大規模な自然破壊を問題にするわれわれと、ゴルフ場開発も一般の土地利用行為の一つとする堺市の立場が異なり、噛み合った話ができず。ゴルフ場は土地の囲い込みだとする我々の批判に対し、ゴルフ場に限らず私有地への侵入は制限されている、と反論するなど、私有地における経済活動に対して、無条件に擁護、代弁する姿勢を示し、行政としての自然保全の課題(経済活動と環境保全の整合性を計ること)に無自覚であることをさらけ出した。
計画撤回に向けて力を貸してください 堺市が開発承認の基本姿勢を固めたことで、大変厳しい状況になりました。関連法令を含めた審査手続き上の問題点の洗いだし、市民へのアピールと運動を盛り上げる方法、マスコミ対策など、今後の対応策について現在協議中です。 |