別所ゴルフ場問題の現状―公害調停と開発の現状その2

1999/09/23

岸田元男

9月13日 堺市環境保全部との話し合い

 工事進行によって破壊されつつあるカスミサンショウウオの谷の保全策について話し合を持つことにした。8月22日に我々が確認した状況については電話及びファックスで環境保全部に報告し、現地確認の上しかるべき対応をとるように要請していた。新たに9月12日に我々が確認した状況について説明を行った上で環境保全部の話を聞いた。

堺市の状況把握と現状認識について

堺市による事実の把握及び堺市と大和開発観光とのやりとり
 
9月1日 環境保全部2名が現地に行く。
 大和開発観光の立ち会いは無かった。谷の進入路部分まで進んだ。鉢ケ峯の自然を守る会から報告があったとおり、池には土が流れ込んでおり、水が濁っているのを確認した。なお開発調整部も同日環境保全部とは別に現地の池まで行ったが、池で起こっている変化について把握できなかった。その後環境保全部と開発調整部が協議し、大和開発観光に事情の説明と対応策を求めることとなった。
9月9日 大和開発観光の専務など2名が堺市役所を訪れた。
大和開発観光の説明。
6月25日に開発許可。7月8日地鎮祭。7月12日着工した。着工前の6月29日雨により谷の上流部に土砂崩壊があった。2年前に作った竹柵が土砂に埋まり、崩壊土砂が雨で下流に流され、池に流入した。そのことについては池の地主に説明して了解を得た。それ以上の流入がないように沈砂池とバイパス等の工事を行っている。カスミショウウオの生息については会社としても重要な関心を持っている。
 
今回の状況についての環境保全部の認識
 
カスミサンショウウオの谷についてこのような状況になるとは想定していなかった。
現状を確認して池に濁水が入らないようにすみやかに対策するように大和開発観光に指示した。対策以外の工事はしないように指導している。
池の水が落ち着くのかどうか大変憂慮している。また、湿地が泥によって埋まることによる影響を心配している。
大和開発観光には開発によって生じる影響を避けるための施設(仮設沈砂池、調整池、バイパス管、有孔管の設置)を速やかに作ってもらいたい。
仮設沈砂池から水路へ濁水を流すためにこれまでは里道(林道)の側壁を削って設置してきたが、池の横の部分についてはシールド工法(側壁にトンネルを掘る)で今週中(9月18日まで)につなげる。
現在の状況は大和開発観光は工事前の土砂崩壊の後始末であり、自然災害の復旧もかねての工事だとしているが、環境保全課としてはそうではないだろうと認識し、開発者にも言っている。(しかし相手がそういっている以上反証する根拠がない)
カスミサンショウウオや希少植物について開発が与える影響についてのの調査を大和開発観光にするよう指示しているが、大和開発観光は行っていない。カスミサンショウウオが現在どこにいるのか調査をするように強く指導すればそのことによってかえって現地の状況にダメージを与え生息に影響を及ぼす心配がある。
工事着工中及び完成後の監視計画については書式について大和開発観光がこだわっており、まだ堺市との間で確認できていない。
 
アカシデ林の保全についての環境保全部の見解
 
アカシデ林については学者にも見解を聞いたが学問的評価がされていない。
環境保全部としては開発者に残すように、という指導はしていない。
市民団体から残すべきだという意見があることは伝えている。
保全すべき種のリスト=ものさしとしては現在レッドデータブックしかない。
 
鉢ケ峯の東西道路の延長について
 
守る会
 東西道路が延長された場合に影響が心配されるため池で我々が調査を行ったところ、レッドデータブックに記載されているメダカがいることを確認した。環境保全部としてはどう考えるか。
環境保全部
 メダカがいることは以前堺市が行った調査で知っている。メダカがいるということで道路計画を変更することは難しい。似た環境の池に移植することになるだろう。
 東西道路については第二豊田川をどのようなルートで渡るのか決まっていない。カスミサンショウウオの生息地についても開発者(農業公園課)に情報は入れている。

鉢ケ峯の自然を守る会から環境保全部への要望(口頭で)

別所のカスミサンショウウオの谷の自然環境がこれ以上損なわれないよう、開発調整部と連絡を密にし、毎週工事の状況を視察するなど開発者の指導に最大限の努力を行ってもらいたい。
鉢ケ峯の東西道路の延長計画については、開発当局に希少生物の情報を入れるだけでなく、その進行状況について把握し、必要な自然保護施策が講じられるように話し合いを持つなど積極性を持ってもらいたい。

1999/09/12 公害調停と開発の現状その2