2004年「ホタル調査」

報告/酒井和子

はじめに
20040801a.jpg (34391 バイト) 2000年から始めた第二豊田川沿いのホタル調査も、今夏で5年目を迎えました。ホタルの保護と生息地の保全を図っていくための予備調査で、三面張りの川底に堆積した土砂の浚渫や、東西道路橋脚部分・ふれあいの森エントランス部分の工事による影響、またツルヨシの繁茂による環境変化などに対応するためのデータ作りでもあります。
 調査は、6月1日(近年は発生が早いので5月末から開始)から6月30日までとし、20:00〜21:00にルートセンサス方式(歩きながら上空と左右を見える範囲でカウント)で行いました。第二豊田川治いを環境の違いを溜め池・ブッシュ・雑木林・もと田んぼ・竹林・川の合流点などごとに8区画にわけ、それぞれでゲンジボタルとへイケボタル(ほかに幼虫が光る陸生のクロマドボタル)の頭数を数えて調査票に記入していきます。また周辺の自然環境について気のついた事などコメントしました。
2004年の特徴
 例年に比べ出現数が激減し、ホタルの乱舞を堪能するに至りませんでした。近畿圏全般に少なかったとも聞いていますが、昨年の冷夏のせいか、6月の夜の気温が低かったためか、鉢ヶ峯の生息地に何か要因が出てきたのか、分かりません。主な特徴は、
1. 100頭にも至らなかった!
04年の最多数は85頭(6/14、ゲンジ−へイケの総数)でした。02年の262頭(6/5、同)、03年の189頭(6/11、同)に比べて、それぞれ32%、45%、減少しています。
2. ホタル橋付近で半減
全区画の中では「ホタル橋」付近がその名の通り多かったのですが、例年より数は減少(調査日全数)し、202頭に留まりました。02年の320±頭、03年の426調からみると明らかな減少です。しかも04年は調査日数が26日とほぼ連日のように行われたにもかかわらずです(03年は18日)。また、合流地点も今夏はちらほらの出現数で、さびしい限りでした。
3. 法道寺川の合流地点より下流に発生
 02年、03年にも見かけましたが、04年は明らかに増え、8月初旬は連日20頭前後、最多23頭も見られました。そのせいか、”ホタル狩りもどき”の不審車を何夜か見かけました。
4. 湿地にゲンジボタルが初発生!
第二豊田川の突堤より上流にある湿地で、ゲンジボタルが出現しました。産卵から発生に至ったのか、下流から飛んできたのかは分かりませんが、川筋の上下に広がっていることは確かです。2区画のブッシュ周辺も158頭と多く、暗闇が濃いだけに見応えがありました。
5. 1区画のため池にへイケボタルが7頭!
 数年前に1、2頭、見かけたことがありますが、今夏は少しまとまった数が見られ、水面に光が映ってきらめき、きれいでした。
6. 20040801b.jpg (19717 バイト)<見物客が増えた>
調査とは別の話ですが、観察会のリピーターや伝え聞いた人たち、ふれあいの森関係者など最盛期には引きも切らぬ見物客で、今や堺市の”ホタル名所”になっていました。
まとめ
 昆虫の消長には予測しがたいものがあるようで、今夏に異変があったのか、何か新たな要因によるものか、解析は不明です。
 1991年6月のホタル発見時は、ホタル橋付近はへイケボタルでしたが、田んぼが廃止されるとヘイケボタルは減り、ゲンジボタルが増えてきました。
減農薬が幸いしたのか餌になるカワニナもたくさんいました。それが今夏は明らかにカワニナが減っていました。橋の上流・下流ともツルヨシが繁茂して川底に日がささなくなってきています。アメリカザリガニも増えてきています。それらもホタルの生息に変化をもたらしているのでしょうか。
今後のホタルの保護と保全を図るため、一度、専門家の方に現地に来ていただき、アドバイスをいただけたらと思っています。また必要なら堺市や川の管理者大阪府にも保全の要望をしていきたいと考えています。

最後になりましたが、調査には、のベ51人の方にご協力いただきました。夜、お疲れのところ、本当にありがとうございました。みなさん、調査もなれてこられ、鉛筆の先っぽほどの明かりのクロマドボタル(幼虫)も、例年になく沢山カウントされていました。

参考資料(pdf)