残土処分開発で堺市「鉢ヶ峯の森」があぶない!(報告)

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はじめに
  H22年1月、「鉢ヶ峯地域における残土処分問題について(経過報告)」、又、「残土処分計画の中止を求める要望署名を堺市に提出」の記事を掲載し、この間の取り組みを報告しました。

 ハーベストの丘の南側に拡がる開発計画予定地は、堺南部丘陵の中でも最も豊かな自然環境が残された森と里山のある所です。当該計画予定地(約25ha)は、鉢ヶ峯全域(鉢ヶ峯寺・豊田飛び地)約125haの20%に当たり、自然生態系を保全する上でも、また生物多様性を維持する上でも、"最後の砦"とも言える貴重な自然空間であり、堺市にとっては"かけがえのない森"となっています。

 このエリアの特徴は、2008年に策定された『堺市レッドリスト』の「Aランク(最重要保護)」に挙げられているオオタカの採餌や繁殖が見込まれる樹林地であること。同リストで、「要注目植物群落」に挙げられているシリブカガシの群生地があること。要注目には挙げられなかったまでも、まとまったコナラ群落やカスミザクラ・ヤマザクラの群生地であること。石津川の源流である明正川が森の南北を流れ、"渓谷風"なV字の谷筋にはシダ類が多種生育すること。夜行性の獣類や野鳥の貴重な生息地であること、などが挙げられます。

 H21年11月、「みどりの保全を求める要望書」を堺市長、堺市議会議長に提出し、12月堺市議会で開発計画の概要が明らかになりました。堺で最も大きな森を伐採し、残土で約25haを埋め立て、埋立地を地権者である学校法人が野球場、多目的グラウンド、テニスコート等を造るというものです。年が明けて、多くの市民の方々に開発計画の動きを知っていたただき、活動の輪を広げ、堺市や堺市議会に開発の中止を求める大きな声を伝えようと3月末から署名活動を取組みました。

3団体で署名活動を展開
 堺南部丘陵の里山をフィールドとしている堺野鳥の会、大阪自然環境保全協会堺自然観察会と本会の3団体が署名を呼びかけ、府下の自然保護団体を中心に友誼団体や有志の方々に署名の協力をお願いしました。
署名をしていただいた会員の皆さんに改めてお礼を申し上げます。

 6月1日、3団体の有志が第一次集約分として3400筆の署名を添えて、堺市長、堺市議会議長に次のことを要望しました。

1. 南部丘陵での、残土処分による開発計画を中止させてください。
2. 早急に「堺市緑の保全と創出に関する条例」を制定し、かけがえのない森を守ってください。
このような中で、堺市は6月市議会に「堺市緑の保全と創出に関する条例案(以下、保全条例案という。)」を上程しました。
念願の里山保全・再生に向けた保全条例の制定
 本保全条例案のポイントは以下の事項です。
(1) 緑の政策審議会の設置・・・市長の付属機関として「緑の基本計画」や保全創出の重要事項を調査・審議する。
(2) 緑の基本計画の策定・・・緑の保全創出の施策を推進する計画を策定する。(都市緑地法(以下、法という。)第4条の基本計画に当る)
(3)

緑地保全地域等の総合的な運用・・・法第5条の「緑地保全区域」、法第12条の「特別緑地保全地区」等の制度の総合的な運用を図る。
*本条例の「保全緑地」の指定は、法の2つの保全制度への移行を視野に入れた制度である。

(4) ?保全緑地の指定・・・都市の良好な自然環境、景観の形成、動物の生息地・植物の生育地の確保のため緑地所有者の同意を得て指定する。樹木の伐採等により保全緑地の保全に影響する行為は予め届出が必要。保全緑地所有者・管理者に保全の支援をする。
(4) 緑のまちづくり活動団体の認定と支援・・・里山等における保全活動等の団体を認定し必要な支援を行う。
 今から10年前、本会は南部丘陵の里山の保全と再生に向けて「仮称:南部丘陵の保全・再生条例」の制定を堺市に提案してきましたが、本保全条例案が上程され、堺市として里山をはじめとする身近なみどりの保全に向けて独自の条例を制定することについて一定の評価をすることができます。また、堺市が身近なみどりを保全する条例を制定することは、大阪府下をはじめ多くの自治体に対して波及する効果をもたらすことが期待されます。

なお、本保全条例案は6月の堺市議会で可決され、今年9月1日から施行されました。

残土処分開発を巡る動き・・・
 6月11日の堺市議会建設委員会で田中市議が残土処分開発問題等を取り上げました。
◇約25haの緑の地帯が埋め立てられること対して鉢ヶ峯の自然を守る会等の3団体が署名活動を展開している。地元の方々も農業水系として水質保全は大丈夫かという不安と反対の声を聞いている。現状を保全することが相応しいか当局の認識はどうかと質しました。 当局から当該地区の緑を保全していきたいとの答弁がありました。
◇さらに保全に当って本保全条例の地権者の同意を前提とする「保全緑地」の指定ではなく、都市緑地法の「特別緑地保全地区」の指定などを適応すべきであると言及しました。これに対し、当然ながら南部丘陵の緑は重要と考えているが、先ず、地域の皆様や地権者の皆様を含めて本保全条例の基本理念や責務を説明し理解を得ての順で進んでいきたいと曖昧な答弁に終始しました。
◇また、残土処分により埋立て業者の儲けは市の試算では、約25億円〜34億円=170万?(埋立て土量)×[1500円〜2000円/?]になる。又、市内のスポーツ施設の事例を参考にすると野球場等の建設費は約4億円であり、差し引き、本残土処分開発で約20億円〜30億円の利益を生み出すことが市の答弁で明らかになりました。
突然、現地に「建設計画予定地」の看板が!
 今年7月に入り、本会のメンバーが現地で「学校法人 藍野学院建設計画予定地 博士課程大学院大学堺市鉢ヶ峯寺地区整備 恒昭会 藍野学院」と記載された大きな看板を見つけました。この看板を設置したことは、残土処分による開発を具体化するという意思表示をしたと判断せざるを得ません。堺市は「堺市土砂等による土地の埋立て等に関する指導要綱」という技術指導基準があるだけで、又、残土処分開発について法的にも立地規制をする制度はありません。当該残土処分開発は堺市環境影響評価条例の「発生土の処分:面積10ha以上の第1種分類事業」に該当し、まず同条例の手続きをしなければならないと思われます。
 同条例に基づき事業者は事業計画の策定段階で事業実施による環境影響の回避・低減、それが不可能の場合は損なわれる環境の代償措置を講じる「配慮計画」を堺市に提出し、順次、以下のフローになります。
配慮計画の公告
→堺市環境影響評価審査会(15人の学識経験者で構成)で同計画の審査
→同審査会の計画審査書(環境保全に係る意見)の作成 一般の縦覧
→事業者へ送付
環境影響評価条例に基づく「配慮計画書」が」提出される!
 9月30日、堺市環境影響評価条例に基づき、学校法人藍野学院(理事長 小山 英夫・事務所の所在地: 茨木市東太田4丁目5番4号)が、次のとおり「同学院野外活動施設整備事業に係る配慮計画書」を提出しました。森の樹木のほとんどを伐採し建設発生土で埋立てて同学院所有地(約23.3ha)に野外活動施設を整備するというものです。 
配慮計画書の内容については、こちら(堺市HP)を参照してください
 →学校法人藍野学院野外活動施設整備事業に係る配慮計画書について
 この「配慮計画書」は、事業者の藍野学院が開発計画を策定するに当って、計画内容(事業の実施場所、規模、主要施設計画等)や環境配慮事項を記載した配慮計画書を市長に提出し、市長は配慮計画書を公告の後、堺市環境影響評価審査会へ当該配慮計画書について環境の保全の見地からの専門的な事項に係る意見を求めるものです。
 同審査会の意見を勘案して、市長は環境の保全の見地からの意見を記載した「計画審査書」を作成し、これを事業者に送付する流れになります。
 10月14日、当該配慮計画についての第1回環境影響評価審査会が開催され、審査にあたって15名の委員以外に5名の専門委員が追加されました。
 同審査会での議事概要は、以下のとおりです。
(事業者側の説明概要)
1. 事業区域は、明正川源流部と東西道路からの進入路として、(通称)つつじ尾根部を含む23.3haの区域。
2. 用地造成は谷部を埋め平坦にするため、産廃以外の土砂を搬入。(約140万立米=東京ドーム一杯の容積)
3. 環境配慮については、大規模な建築物は設置しない。建物は、更衣室や用具倉庫、仮設トイレ程度。
4. 野球場には、バックネットや照明設備もつくらない。また、給排水設備も設けず、水飲み場はもちろんシャワーなども設置しない。農場は、敷地内の調整池からの水を利用する。
5. 自然環境については、谷を埋め暗渠化することで、谷の生態系はなくなるが、その替わりに植生は、敷地内の別の場所に移設し、魚類も下流に移す。
6. タイムスケジュールは事業者としては、アセスメントに1年半〜2年。工事の着工から完成まで5年、両方で7年ぐらいを考えている。
 その後、堺市から今後のスケジュールについて説明があり、この事業は環境影響の程度が特に著しい事業に摘要される、第1種分類事業に当たり、「方法書」の提出が必要である。(方法書が提出されると、45日間は公告・縦覧に供され、その間市民も意見を述べられる。) 第2回会議(会議終了後、「審査会意見書」が市長に渡される。)は、11月26日に開催予定。なお、その間、10月21日には現地立会、その他審査員と市側がメールで情報等を交換するということです。
残土処分開発計画を白紙にし、鉢ヶ峯の森を守ろう・・・
 本配慮計画では自然環境負荷の低減を図るとなっていますが、堺市内で最も大きいこの森の約70%を破壊し動植物を壊滅させるというものです。残土処分開発がされたら、自然環境へ影響を与えるというレベルではなく、まさに自然・生態系を根こそぎ消失させることになります。計画アセスメント制度に近い配慮計画制度が開発を中止させることができるのかを見守りながら、今後、環境影響評価条例による「意見書」を提出するなど、市民の声を反映した実効ある環境影響評価をするよう求めていきたいと考えます。又、堺市のみどり・環境関連計画や施策に背反する本残土処分開発計画を白紙に戻させ、保全に向けた対策を直ちに実施するよう、堺市に強く求めます。仮に地権者の理解が得られない場合は法的には同意を必要としない都市計画決定による「特別緑地保全地区」の指定も堺市は視野にいれるべきです。

 万一、残土処分によりかけがえのない鉢ヶ峯の森が破壊された場合、堺市の失政としてこれからのみどり・環境行政に大きな禍根を残すことになりかねません。今後、重大な局面を迎えることも予想されますが、「鉢ヶ峯の森」を後世に引き継ぎたいという思いが実現するよう、引き続き取り組んでいきますので、ご支援をよろしくお願いします。このような状況を踏まえ、多くの市民の方々に発信し里山保全に向けて、11月27日(土)、講演「里山の生物多様性について」と「鉢ヶ峯の残土処分(開発)問題を考える」集いを開催します。同封の集いのビラをご覧いただき、是非、ご参加ください。

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