残土処分開発で堺市「鉢ヶ峯の森」があぶない!(報告その4)

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この間、本会ニュースレターで鉢ヶ峯の森で計画されている「残土処分開発問題」の経過を順次報告してきました。堺市長に対して多くの市民の願いを込めた署名要望書の提出をはじめ、H21年8月から残土処分開発計画を中止させ、鉢ヶ峯の森の保全をめざして取り組んできましたが、年末年始にかけて今後の開発問題の方向を示す大きな動きがありました。

堺市が開発ストップの動きに・・・
 −堺市都市計画審議会に「特別緑地保全地区」の決定(素案)が報告される−
昨年(H22 年)10月、堺市長は堺市緑の保全・創出条例に基づく第三者機関の「堺市緑の政策審議会」に対し「南部丘陵における緑地保全の仕組みづくり」について諮問しました。2回の審議会開催を経て、今年1月20日、同審議会は「豊富な緑地や希少な動植物が残る堺市の南部丘陵の約160ヘクタールの区域について開発をする場合市長の許可が必要な「特別緑地保全地区」の活用が有効である。」と答申しました。
この答申を受けて、市長は2月10日に開催された第5回堺市都市計画審議会で「南部丘陵における特別緑地保全地区の決定(素案)」を報告し、同保全地区の指定(都市計画として定める)の手続を進めることを明らかにしました。
素案の特別緑地保全地区(名称:鉢ヶ峯寺地区特別緑地保全地区)は、藍野学院が建設発生残土処分による野外活動施設建設計画地を主なエリアとする約14.5haの区域を対象としています。当該区域を決めた理由として「当該地区は石津川水系・明正川の水源地に位置し、樹林地が良好な視線的環境を保っている貴重な緑地であり、動植物の生息地または生育地としての緑地を保全するとともに、当該地域住民の健全な生活環境を確保するため。」と説明しています。
特別緑地保全地区とは?
 特別緑地保全地区として指定されると、当該保全地区内で建築物の建築や宅地造成、木材の伐採などを行う場合、堺市長の許可が必要になります。市長は緑地の保全に支障があると判断した場合、開発等に対して不許可することができ、その代わりに市長は土地所有者に一定の損失補償を行います。また、土地所有者は市長に当該土地の買い取りを申し出ることができるというものです。
今後、当該残土処分による野外活動施設建設計画地が特別緑地保全地区として指定(都市計画決定)されると、残土処分開発を中止させることができる訳です。なお、都市計画審議会への素案では、特別緑地保全地区の指定するために、今後のスケジュールとして以下の手続が予定され、今年8月頃の都市計画決定を目途としています。
<都市計画決定手続の流れ>
素案の地元説明会(平成23年3月26日 午後2時〜 南図書館集会室2)⇒
 素案の公聴会(平成23年4月頃) ⇒
 都市計画案の作成 ⇒
 都市計画案の縦覧・意見書の提出(平成23年6月頃) ⇒
 都市計画審議会への付議(平成23年7月頃) ⇒
 都市計画の決定・告示(平成23年8月頃)
これからが正念場 !
 昨年12月、堺市長は環境影響評価条例に基づき、藍野学院に対して環境保全の見地から「野外活動施設建設事業を回避することも含めて検討すること。」という計画審査書を送付しました。開発者側が同条例に基づく手続を進める場合、計画審査書で市長が指摘した事項に対する返答を市長に示し、環境影響評価の方法書を市長に提出することになります。
 これからの動向のポイントは、特別緑地保全地区の都市計画決定スケジュールに対して、開発者側から環境影響評価条例の手続を進めるのかという点です。今後、どのような展開になるのか不透明な面もありますが、現局面は鉢ヶ峯の森の保全に向けて、堺市長が英断を下したと評価することができ、鉢ヶ峯の森の保全に向けて展望が開けてきたと言えます。
 なお、素案に示された区域図を見ると藍野学院が昨年、堺市に提出した配慮計画書にある野外活動施設開発区域(約23.5ha)と比べると、私たちが「ツツジ尾根」と呼んでいる東西道路からの南北進入路区域は除外されていたり、他に本体の開発区域と特別緑地保全区域の指定エリアが一致せず、又、天濃池南側の土地が含まれているなど、特別緑地保全地区の設定で不明な点があり、堺市に説明を求める必要があると考えます。今後、都市計画決定の手続きの中で予定されている地元説明会、公聴会等の場を通じて、本会をはじめ多くの市民の声を都市計画審議会委員に届けることが求められています。また、堺市緑の政策審議会から示された「南部丘陵の約160ヘクタールに対する特別緑地保全地区の活用」の答申について市の考え方や対応を求めていきたいと考えます。
 まだまだ取り組んでいくことが数多くあり、引き続き皆様のご協力をお願いいたします。

【この間の経過概要】
2009年(H21年)
08/18(火) 堺市環境保全部環境総務課に対して鉢ヶ峯の森の「残土処分開発」の動きをヒアリング
11/13(金) 堺市長、堺市議会議長へ「鉢ヶ峯地域におけるみどりの保全を求める要望書」提出
当該残土処分開発計画の全容を明らかにし樹林地の消失と生態系を壊滅する当該計画を認めないこと。
早急に「堺市緑の保全と創出に関する条例」を制定すること。
12/15(火) 12月堺市議会で残土処分開発計画の概要が明らかになる。
2010年(H22年)
03/上旬 残土処分開発問題の署名活動を開始。
06/01(火) 堺市長、堺市議会議長へ第1次署名(3400筆)を添えて「南部丘陵での開発(残土処分)計画の中止を求める要望書」を提出。
南部丘陵での、残土処分による開発計画を中止させること。
早急に「堺市緑の保全と創出に関する条例」を制定し、かけがえのない森を守ること。
06/18(金) 堺市、9月1日施行の「堺市緑の保全と創出に関する条例」を制定。
07/下旬頃 現地に「建設計画予定地」看板が設置。
09/30(木) 藍野学院が堺市環境影響評価条例に基づく「同学院野外活動施設整備事業に係る配慮計画書」を提出。
11/12(金) 堺市長、堺市議会議長へ「建設発生残土の埋立てによる「鉢ヶ峯の森」の破壊を中止し、かけがえのない森の保全を求める要望書」を提出。
配慮計画等に対して事前配慮制度を導入した趣旨を踏まえて実効ある計画審査を行うこと。
開発者の理解が得られない場合、都市緑地法に基づく「特別緑地保全地区」の指定等の有効な措置を講じること。
堺市議会各会派ロビー活動を実施。(市議会陳情・里山生物多様性等の集い案内)
11/27(土) 「里山の生物の多様性と鉢ヶ峯の残土処分(開発)問題を考える集い」開催。
11/30(火) 堺市環境影響評価審査会が堺市長に配慮計画書に対する検討結果を答申。
12/10(金) 堺市長が計画審査書を藍野学院に送付。
*審査概要「環境保全の見地から事業者は事業を回避することも含めて検討すること。」
2011年(H23年)
01/20(木) 堺市緑の政策審議会が堺市長に答申。
答申概要
「豊富な緑地や希少な動植物が残る堺市の南部丘陵約160ヘクタールの区域 について、開発に市長の許可が必要な特別緑地保全地区の活用が有効。」
01/26(水) 「南部丘陵・堺市民アンケート調査結果/H22.10.18〜10.31」を堺市発表。
調査対象:堺市在住の18歳以上の3000人に郵送配布回収 有効回答数1382人
調査結果南部丘陵保全 
進めるべき(50.7%) どちらかといえば進めるべき(32.4%) あまり思わない(3%)
思わない(1.2%) 分からない(9.6%) 無回答・不明(3.2%)
02/10(木) 堺市都市計画審議会へ堺市南部丘陵における「特別緑地保全地区の決定(素案)」を報告

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